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今後、年金の受給開始を70歳に引き上げられることが予想されるなど、老後不安は高まるばかり。だが、そもそも働くことは前向きで生きがいにもなりうること。報酬をもらうだけでなく自分が必要とされていると感じると、いつまでも元気でいられるーー。

 

「いらっしゃいませ! 今日は寒いですね!」

 

東京・四谷にあるハンバーガーショップ「モスバーガー」で、明るい声とホッとさせる笑顔で迎えてくれたのは、中村小夜子さん(68)。中村さんは「モスバーガー」で、朝7時から15時まで、レジや商品提供などの接客、調理から片付けなどの仕事をこなしている。

 

「ここで働く前は、自営業の夫の手伝いをするくらい。専業主婦のままで、ぷらーっと暮らしていくことに抵抗があり、40歳過ぎてから仕事を探しました。当時は、主婦の求人が少なくて苦労しました。44歳で働きはじめましたが、立ち仕事なので、最初は疲れることも多かったのはたしか。でも内容は幅広いしやりがいがある。お客さまとのちょっとした会話も楽しいんです。ほかの店舗には80歳で続けられているスタッフもいますから、私を必要としてくれるうちは、がんばるつもりです」(中村さん)

 

「モスバーガー」の採用は各店舗ごとで、シニアに特化しているわけではない。それでも直営店50店舗で働く人のうち約5%が60歳以上だという。

 

「シニアの方は仕事に取り組む姿勢も真面目で、人生経験を積んでいるからお客さまへの気遣いも若い方とひと味違います。お店の雰囲気もよくなるなど“副産物”が多くあるのです」(広報担当者)

 

中村さんはマネージャーとして、学生アルバイトを指導する役割を担っている。まさに“お母さん的存在”だ。

 

「高校生のアルバイトからしたら、おばあちゃんですよ。そんな若い人たちと一緒に働くから、年代を超えたコミュニケーション力が必要かも。休憩中に積極的に話しかけて、スマホの使い方を教えてもらったり、“マジ〜”とか“メッチャ”とか言葉を教えてもらったりしています(笑)。お客さまにくつろいでもらうために、スタッフ同士が楽しくやっていけるよう心がけています」(中村さん)

 

いまのところ、生活費は夫の収入で賄えるので、収入は自分のお小遣いになる。

 

「ほかは洋服を買ったり、美容院に行ったり、好きなお酒を飲んだり……。たしかにお金は大切ですが、人の幸せのために働けていることが、なによりもうれしいです」(中村さん)

 

オーバー60の仕事が、中村さんの生活や心にゆとりをもたらしているよう。あなたも、自分に合った仕事を選ぶための準備を、今から始めてみてはいかが?

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