「『嘘をついてはいけない』としつけられた子供は、しつけられていない子供と比べると、将来、大卒以上の高学歴になるケースが明らかに多く、年収も50万円以上高くなる傾向があります」

 

こう語るのは、神戸大学社会科学系教育研究府の西村和雄特命教授。西村教授は、ゆとり教育を批判した著書や、教育に関するユニークな調査発表でも有名だ。今回、その西村教授のほか3人による共同調査『基本的モラルと社会的成功』が発表された。

 

「’12年の2月、インターネットを通じて平均年齢43歳の男女から約1万6千の有効回答を得て、解析したものです。よく聞かれる8つのしつけについて、子供のころに受けたことがあるかどうかと学歴、現在の年収について、関係を調査しました」

 

調査の結果、8つのうち4つのしつけを受けた人が、高学歴になる率が高いことが明らかになった。また年収も、4つのしつけをすべて受けたケースは、ひとつも受けていないケースよりも80万円も高かったのだ。

 

その4つのしつけとは「嘘をついてはいけない」「他人に親切にする」「ルールを守る」「勉強をする」というもの。この調査で興味深いのは、周囲の大人からしつけられた「記憶」があるかどうかで統計が取られている点。つまり、これらのしつけを実践、理解できたかが問題ではなく、言われたことを覚えていることが大事だということだ。

 

「未就学、小学生くらいの幼少期ならば、簡単なしつけの言葉を繰り返し言い聞かせて『記憶』させることで、自然とモラルを身に付けさせることができるんです。それが結果的に、我慢強さや協調性、規則正しい生活習慣や学習習慣に結びつき、将来的に企業の求める人材に育つのだと考えられます」

 

それなら少しでも早いうちに、わが子のしつけを……と考えたくなるが、注意したいのはひとつのしつけに特化しないことだ。偏った考えや、利己的な性格を持たせないようにするには、前出の4つのしつけをまんべんなく教えるようにするのが肝心だという。

 

親の中には「もうそんなしつけやっている」という人も多いはず。しかし、当たり前すぎて、あえて言っていないということもある。

 

「言わなくてもわかると思うかもしれませんが、幼い子どもは、言われないとわかりません。何度も口にして、記憶させることが大事です。昔はまわりの大人が言ってくれましたが、今、子供の近くには親しかいません。親が言わなくなれば、誰からも聞かされずに育ってしまうのですから、お父さんやお母さんの役割は大きくなっているといえます」

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