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「遠く離れた実家に戻って介護をしている人も少なくありません。しかし、介護という問題を前に、大きな負担となっているはずの交通費のことまで頭が回らないことも。負担を減らせる“介護割引”サービスを上手に活用してほしいです」

 

そう語るのは、“カリスマ介護アドバイザー”の横井孝治さん。秋の連休を利用して遠距離介護をする人も多いはず。そんなとき交通費は莫大になる。たとえば、都内に住むAさん(62)は、軽度の認知症の87歳の母が暮らす青森を、土日の週末を利用して、月に1回往復している。

 

「飛行機代は往復約7万円。新幹線で行くと往復3万円ほどですが、疲れ以上に、貯金がどんどん減っていくことがつらいです」(Aさん)

 

横井さんにアドバイスを求めた。

 

「まずは、介護者向けの割引サービスを設けているのが、日本航空、全日空、スターフライヤー、ソラシドエアの航空各社です。時期や路線によりますが普通運賃よりも30〜40%安くなることもあります」

 

航空各社の介護割引サービスを利用するには、介護保険証や戸籍謄本などの書類を添えて申し込むという。

 

「さらに日本航空と全日空はマイレージカードに登録が必要です。スターフライヤーとソラシドエアは、送られてくる介護割引パスを提示して予約することができます。また、早期予約や格安航空会社の利用なども選択肢として考えてください」

 

仮にAさんが、日本航空の9月1日の早朝便を利用した場合、普通運賃が3万40円だが、「介護帰省割引」だと2万1,940円になる。では、JRではどうだろう。

 

「JR各社には介護割引サービスはありません。しかし、全国のJRのキップが年間20回までなら30%引きになる『ジパング倶楽部』は、女性なら満60歳以上(男性は65歳以上)、もしくは、夫婦のどちらかが65歳以上なら年会費3,770円で利用できます。またJR各社の会員制サイトも。JR東日本の『えきねっと』は、13日前に予約すると最大35%引きになる割引サービスもあります」(横井さん)

 

これからの遠距離介護は、情報をいかに入手するかがカギだという。

 

「介護は情報戦。とくに社会福祉のサービスは積極的にPRしていないことも多く、自分から情報を取りにいくことも大切。介護は根気のいること。介護する人の体力だけでなく、経済的な負担を少しでも減らすことが重要です」

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