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写真集『猫ジャンプ』(ワニブックス刊)に掲載されている、ダイナミックにジャンプする猫たち。撮影したのは、普段は事務員として働きながら、2011年から猫の写真を撮り始め、2年足らずで写真集の発売までこぎつけた間宮誠爾さん(40)。不思議で可愛い“猫ジャンプ”写真、私も撮ってみたい!という人のために、撮影のコツを聞いてきました。

○ジャンプを誘導するために猫用おもちゃを使用

「市販の猫用のおもちゃの柄を、枝を繋げて1メートルくらいの長さにしています。長いと、猫を広範囲に走らせることができ、より高くジャンプしてくれるので。そして、先端に付いているネズミなどのおもちゃを猫に引きちぎられないように、頑丈に縫いつけてます。おもちゃに千枚通しで穴を開けて、丈夫な糸で縫っています」

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○カメラはキヤノンがおすすめ

「僕はキヤノンのデジタル一眼レフカメラ、5DMarkIIを使っています。レンズは、普段撮りにはキヤノンの70-200mmf2.8と100mmマクロ、そしてジャンプショットはシグマの12-24mmを使っています。キヤノンのカメラとレンズは人物や猫の撮影に最適かと思います。ふんわりした温かい写真を撮ることが出来ます。ただ、これらの機材は高価なので、最初はスマホやコンパクトデジカメで十分だと思います」

 

○撮影場所には雑草があるとよし

「アスファルトより、雑草の生えたところがいいですね。雑草から見え隠れするネズミのおもちゃは、猫に実際にネズミがいるような錯覚を感じさせます。建物がないすっきりした所で撮影すれば、大草原で撮ったような印象にも。あと、雨上がりは空気がキレイなので、空がいい感じに写りますね」

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○撮影時間は日の出後、日の入り前に

「撮影は、日の出後、日の入り前の1時間が狙い目です。この時間は光の具合がよく、猫たちもアグレッシブになるので、他の時間帯より面白い写真が撮れます。輪郭も金色に浮かび上がったりして雰囲気のある写真にも。昼間の写真はちょっとのっぺりした感じになる気がしますし、日中の猫たちはそれぞれの寝床で寝ていて、出てこないことが多いですしね」

 

○コミュニケーション術

「子供の猫はすぐにカメラにも慣れますが、成猫は慣れるのに1年かかることもあります。仲良くなるために、ずっと同じ場所に通い続けることが大切です。あと、猫に対して正面を向いて近づくのはダメ。僕は、横を向いたまま『だるまさんがころんだ』みたいに、少しずつ蟹歩きで近づいて距離を縮めています。それでも限界区域に入ったら逃げてしまうので、入る手前でしゃがんで“何もしないよ”“安全だよ”アピールを。それを何日か続けていれば、安全な存在として認識してくれるようになりますね」

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○撮影術

「ジャンプショットを撮るときは、カメラは常に地面に押し付けるようにしています。こうするとダイナミックな構図になりますし、猫たちの警戒心を和らげる効果もあります。改造したおもちゃを初めは地上でじゃらして猫を走らせてから、おもちゃを思いっきり高く振り上げてジャンプさせます。止まった状態からのジャンプではなく、走りながらのジャンプなので、猫が体をひねったりして変わった体勢になって、面白い写真が撮れますね」

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○そのほか注意点

「大事なことは、とにかくたくさん撮ることです。デジタルカメラは一日何百枚、何千枚と好きなだけ撮ることが出来ます。僕は、猫を見ていて『あ、いい』と思った瞬間、なにはさておきシャッターを切ることにしています。設定がどうのと悩んでいる間に、その瞬間は逃げてしまいますからね。あと、ジャンプショットの撮影において大切なこととして、猫たちがやる気のあるときだけ撮影するということです。猫は気まぐれです。こちらが撮る気まんまんでも、猫たちにやる気がなければよい写真は撮れません。猫たちに遊ぶ気がなければ、一緒に昼寝でもしようかな、ぐらいの気持ちでいるといいですよ」

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<撮影/間宮誠爾(猫ジャンプ写真)、鈴木鍵一(本誌取材分)>

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