震度7からお金を守る「財産管理メモ」の作り方

東京大学地震研究所などを中心とする文部科学省のプロジェクトチームは、70%の確率で30年以内に、最大震度7の首都直下型地震が起こると予測している。もし、そんな地震が起こったら……やはり気になるのは生き残るための「お金」だろう。

 

しかし、大地震が起こりパニックになったら、通帳や印鑑を探している余裕はないかもしれない。東日本大震災でも、通帳を取りに家に戻ったために津波から逃げきれなかったという残念なケースがあった。災害のあと、当座の生活資金を確保するために必要なこととは。ファイナンシャルプランナーの浅田里花さんに聞いた。

 

「災害時は、通帳や印鑑、キャッシュカードがなくても、免許証やパスポートなど、本人確認ができる写真付き証明書があれば、お金をおろせます。コピーでもかまいません。そのような緊急時にお金を守るために必要なものをひとまとめにした、非常用の『マネー持出し袋』を作ることです」

 

『マネー持出し袋』には、現金(釣銭切れを想定し、千円札や小銭で1万円程度)や電子マネー、家族写真や家族全員分の運転免許証のコピー、パスポートのコピーなどを準備。今回の震災では本人確認ができる証明書のコピーがあれば、ゆうちょ銀行では1人1回20万円まで、そのほかの金融機関でも1日10〜20万円ほどを引き出すことができたという。

 

「家族写真は避難している家族を捜すときに有効なだけではなく、お金につながるメリットも。預金は基本的に本人しか引き出せないため、夫が行方不明の場合は何かと時間がかかります。しかし緊急時、その家族写真があり顔なじみの金融機関があれば、本人でなくても融通をきかせてくれる可能性があります」

 

そのほか、銀行や保険の問い合わせ先などをまとめた「財産管理メモ」を作成し、そこに書かれた「銀行」と「保険」の欄のコピーも入れておくことを勧める。そうすることが、緊急時のスムーズな手続きに繋がるからだ。

 

《財産管理メモ》に記載すべき事項

●銀行(銀行名、支店名、口座名、コールセンターの電話番号)

●保険(保険会社名、加入保険の内容、証券番号、保険金額、契約者・被保険者・保険金受取人、コールセンターの電話番号)

●不動産(自宅住所、その他不動産の住所、名義、購入年月日、購入価格)

●金地金、宝飾品(金地金の重量、宝飾品の内訳、購入年月日、購入価格)

●年金、保険など(基礎年金番号、健康保険証番号、運転免許証番号、パスポート番号)

●カード(クレジットカード番号、カード会社コールセンターの電話番号)

 

「金融機関の地元の支店が被災して混乱している時に、すばやく対応してもらえるのがコールセンター。ですから、その番号は絶対に控えておいてください。保険は、自分で請求しなければ保険金がおりませんから、どんな保険に加入しているか、把握しておくのは必須です」

 

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