ピクサー14作目の長編作品は、かつて大ヒットした『モンスターズ・インク』の前日譚、『モンスターズ ユニバーシティ』だ。本編終了後に流れるエンドロール、名だたるメインクリエーターたちの名前が1人1画面で表示されるところに、アートディレクター・ダイスケ“ダイス”ツツミ、の名前が!彼はこの作品のカラーライティング責任者。
「決してほかの人より仕事をしたというわけではないんですが(笑)。最初から最後まで、映画の核心に迫る部分をまかされたので、すごくやりがいのある仕事でした」と堤さんは言う。彼のメインの仕事はカラースクリプト(色の脚本)を描くこと。その絵を各部門のスタッフ全員が共有し、作業を進めていく。
「ストーリーに台本があるように、映像にも台本があるんです。色と光の面から、作品の情感や時間帯、天候などを見失わないようにするためです。カラースクリプトはだいたい300枚くらい。ストーリーが変わればそれに合わせて変えていくので、映画全体では500〜600枚くらい描きましたね」
その堤さんが、今作『モンスターズ ユニバーシティ』のちょっとした裏側を教えてくれた。
「新学期の最初、マイクは影、サリーは光の中にいます。しかし、学期が経過するにしたがって猛勉強をしたマイクはついにサリーを追い越して、好成績をとります。そのときサリーを影に置き去りにし、マイクは光の中に入っていくのです。この映画では光と影はつねに意味を持っています」
登場するカラフルなモンスターは300以上。マイクは緑なので、チームも緑。逆に悪役たちは補色にあたる赤で固めたそうだ。ちなみに、マイクの仲間スクイシーは堤さんのアイデアで、日本のおもちをモチーフに誕生したとか。