今年6月、世界遺産に正式認定された群馬県の富岡製糸場は、明治政府が日本の近代化のために最初に設置した模範器械製糸場だ。

 

「明治5(1872)年から昭和62(’87)年まで115年間という長い間、実際に操業していました。明治政府がつくった官営工場の中で、ほぼ完全な形で残っているのは富岡製糸場だけです。全国から工女たちを集めて技術を教え、器械製糸の指導者として郷里に戻ってもらうという教育機関的な役割も担っていたんですよ」

 

こう語るのは、富岡市世界遺産まちづくり部・富岡製糸場課の結城雅則さんだ。

 

「夏休みにはぜひご家族で訪れてもらいたいですね。個人でお越しの場合は予約は要りませんが、休日は9時の開場前から約300人の列ができています。海の日を含む3連休やお盆はかなり混雑すると思いますので、平日をオススメします」(同)

 

記者が訪れたのも平日だったが、観光バスがひっきりなしに到着していた。広大な敷地を巡るときにオススメなのは、約40分の無料ツアーガイドだ。

 

「富岡製糸場のメインの見どころは、東西にある繭倉庫と繰糸場です。当時、世界的にみても最大規模の工場だったんですよ。最盛期は900人以上が働いていました」

 

などと、建物や機械についてひとつずつ丁寧に解説をしながら、場内を案内してくれる。’87年まで操業していた場内には繰糸機が当時のまま保存されており、働いていた女性工員が機械で糸を取り出す音が今も聞こえてくるようだ。無料ツアーは昼食時間を除き、毎日ほぼ30分おきに開催されている。

 

「繭から生糸を取る繰糸機は、日産製だった」など、知識豊富なガイドさんのトリビアに、知的好奇心をかき立てられ、大満足。子供の自由研究にもいいかも!

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