「能登の里山里海が丸ごと、『世界農業遺産』に登録されているのをご存じですか?」と問いかけるのは、能登町でグリーンツーリズムの旗振り役を務める多田喜一郎さん。

 

世界農業遺産とは、「国際連合食糧農業機関(FAO)」が、近代化の中で失われつつある伝統的な農業や農村文化などを保護するために始めたプロジェクトで、アジアでは中国、フィリピンなどの伝統農業が登録されている。

 

「’11年、先進国で初めて能登が登録されました。近代化された国の中で、本来なら消えてしまってもおかしくないものが、能登の里山里海には残っていた、ということです。『まれ』のロケ地で有名になった輪島市大沢町には、今も潮風から家を守る竹の垣根の間垣が残されていますし、海岸沿いにつらなる棚田の風景も今の日本では貴重なものでは」(多田さん・以下同)

 

里山里海とは、野放しの自然ではなく、里の隣で、人々の生活に結びついた存在だ。里人はそこで食料を調達するため、手を入れ、管理し続けてきた。ところが台風や干ばつといった天災には人間の力は及ばない。だから集落では神様の力を借り、豊作や無事を祈願する祭りを行ってきた。

 

「祭りは、里山里海に欠かせない存在。能登の多くの集落に、まだ伝統的な祭りや神事の文化が残っています。とくに夏から秋にかけては、毎日どこかで祭りが行われているといっていいほど。遊びにくるなら、祭りの日程に合わせるのもいいかもしれません。7月31日〜8月1日に開催される、輪島市の名舟大祭はぜひ一度見てほしい祭り。仮面をつけた複数人の打ち手が乱れ打つ『御陣乗太鼓』は圧巻の一言!」

 

多田さんは、「能登に来たら、気軽に地元の人に話しかけてほしい」と続ける。

 

「なんといっても、人があっての里山里海。山や海、祭りのことで知りたいことがあればどんどん聞いてみて。能登の人は不器用で自分から話すのが苦手だけど、聞かれたら喜んで答えてくれる。お酒が入ったときには、みずからよくしゃべるんだけど(笑)」

 

この夏、能登の里山里海、そして人情に触れる旅に出かけてみよう!

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