《親の介護が始まり、慣れない力を使ったから腰や肩が痛くて……》《介護は重労働。いつまで続く?》

 

身内の介護でこんな悩みを持つ女性に、ぜひ習得してほしいのが古武術介護である。

 

「古武術の習得は、日本人であれば誰でも備えているDNAを目覚めさせるだけ。本来持っている身体能力を思い出す作業に近いかもしれません」

 

こう語るのは俳優の榎木孝明さん(62)。映画やドラマで活躍する榎木さんは、古武術や気功の達人としても知られる。バラエティ番組では、指先だけで悠然と相手を倒していく技を披露した。

 

「日本人が筋トレを始めたのは、明治維新以降のこと。それ以前の日本には、1日100キロ以上の街道を走る飛脚が存在したり、古来の武術や剣術も、腕力や筋力に頼らない体の使い方が基本でした。古武術は、筋力・体力・年齢を超越できる武芸であり、力のない女性による介護や、“老老介護”にも応用可能で、おススメします」(榎木さん・以下同)

 

そこで今回、古武術の基本を榎木流にアレンジした、介護法を教えてもらった。

 

【古武術介護1】寝ている人の上体を起こす

 

1)被介護者はあおむけの状態で、胸の下で左右の手を組む。介護者は手のひらを上にし、被介護者の首の下に差し入れる。

 

2)気持ちを込めて「ありがとう」と言いながら、被介護者を手で支えながら上体を起こしていく。このとき腕力で背中を押して起こそうとせず、感謝の気持ちで誘導していき、姿勢を整えてあげる。

 

「介護させていただくというスタンスで、『ありがとう』の感謝の気持ちを、声に出して伝えること。うわべだけでなく、心を込めて。『ありがとう』の言葉は、強い波動(=エネルギー)をもたらし、力を使わずに介助することができます」

 

心からの感謝が伴えば、力を入れることなく、ふわりと相手を誘導することができるという。

 

【古武術介護2】寝た姿勢から椅子に座らせる

 

1)被介護者はあおむけの状態で両手を胸の下で重ねる。介護者は被介護者の首の下に片手を差し入れ、膝下にもう一方の手を入れ少しずつゆらゆらと手前に移動させる。

 

2)被介護者の膝を持ち上げ、「ありがとう」の声かけで、被介護者の上半身をゆっくり起こしてあげ、半回転させながら、足を床に下ろしてあげる。

 

3)介護者は、ベッドに腰かけた被介護者の右脇に左手を差し入れ、反対の脇の下に被介護者の頭を入れる。

 

4)2人の体が一体化するように、強い力を加えないでスッと被介護者を持ち上げ、その体をスルリと半回転させ、椅子に座らせる。

 

【古武術介護3】バスタブでの入浴介助(出るとき)

 

1)バスタブの中にいる被介護者に、膝を曲げて、両手を組んで座ってもらう。介護者が後ろに回り、両手を被介護者の脇から手を入れて、組んだ手の上に包むように置く。

 

2)「ありがとう」と声をかけ、支えながら、立ち上がることをサポートする。

 

3)しっかりと被介護者が自分の両足で立ち上がったら、介護者はバスタブから一度出る。このときも被介護者を支えながら。

 

4)そうしてゆっくりとバスタブの端に被介護者を座らせる。

 

古武術を応用した力のいらない介護を、ぜひ試してほしい。