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「実家の両親と離れて暮らしている家庭は多いですよね。いっしょに暮らしていないから、扶養家族と見なされないと思い込んでいませんか? じつは、別居している親でも、生活費の面倒をみていれば、『扶養控除』の対象になるんです」

 

こう話すのは経済評論家の加谷珪一さんだ。’19年10月には消費税が10%に引き上げられる予定のため、「税金額は上がるのに、受け取れる年金額は下がるかも」という、家計の圧迫感が“半端ない”時代に突入することに。

 

「所得から徴収される税金額を少しでも減らすことは、自分と家族の家計を守るために必要な手段といえます。その節税のために知っておくべきなのが『所得控除』。所得控除とは、医療費や保険料をはじめ、社会生活を送るために負担した額を、課税対象となる所得から差し引くことです。差し引いた額に税率をかけることで所得税が決定されますから、控除額が多いほど所得税は低くなるわけです。冒頭に挙げた扶養控除のほかにも、さまざまな控除がありますよ」(加谷さん)

 

所得にまつわる主な控除には次のようなものがある。

 

【1】基礎控除
所得のあるすべての人が対象。控除額は年額一律38万円。

 

【2】社会保険料控除
社会保険料を納めた人が対象。控除額は1年間に納めた社会保険料の全額。

 

【3】生命保険料控除
生命保険の保険料を納めた人が対象。控除額は、保険の種類ごとに年額最大4万円(生命、医療、年金それぞれで最大12万円)。

 

【4】地震保険料控除
地震保険の保険料を納めた人が対象。控除額は年額最大5万円。

 

【5】DC(確定拠出年金)の控除
掛金を払った人が対象。控除額は年間掛金の全額。

 

【6】扶養控除
所得が一定金額以下の満16歳以上の親族を扶養している人が対象。控除額は扶養親族の年齢によって諸規定あり。

 

【7】配偶者控除
年収103万円以下の配偶者がいる人が対象。控除額は70歳未満であれば最大38万円。

 

【8】配偶者特別控除
年収103万円超の配偶者がいる人が対象。控除額は最大38万円。年収150万円を超えると控除額は減額。

 

【9】医療費控除
年間10万円以上の医療費を支払った人が対象。10万円を超えた部分が控除対象額。

 

【10】雑損控除
災害・盗難で損害を受けた人、保険でカバーできなかった分が対象。控除額は所得に応じて諸規定あり。

 

【11】寄付金控除
特定の寄付をした人が対象。控除額は「寄付金額−2,000円」(所得に応じた上限あり)。

 

では、この控除を利用できるかできないかで、どれほどの差が生まれるのか。シミュレーションして、パターン別で「得する家×損する家」を見てみよう。

 

■パターン1「高齢の両親」

 

A:生活費を日常的に支援している親がいる家庭
B:元公務員の親がいる

 

<Aの場合>
・親の年金収入が150万円の場合、親の社会保険料は11万6,000円(自治体によって異なる)となり、この分は全額控除できる。
・親を扶養している場合には扶養控除も使うことができ、70歳以上で別居なら48万円、同居なら58万円まで控除可能。
→社会保険料控除11万6,000円と扶養控除58万円を合わせると最大で約70万円控除可能。

 

<Bの場合>
・親が元公務員の場合には、十分な年金があるので、生計を一にしている可能性は低く、年金収入が158万円超の可能性が高いので扶養控除の対象とならない(最大約70万円の差)。

 

結果:Aのほうが約70万円多く控除が可能!

 

■パターン2「子ども」

 

A:子どもが25歳で会社員
B:子どもが22歳でニート

 

<Aの場合>
・子どもの年齢が25歳で会社員の場合には、103万円超の年収があるので控除できない。

 

<Bの場合>
・扶養する子どもがいる場合には扶養控除が使える。
・子どもの年齢が19歳以上23歳未満で、年収が103万円以下であれば63万円が控除できる。

 

結果:Bのほうが63万円多く控除が可能!

 

■パターン3「パート妻」

 

A:妻の年収が100万円
B:妻の年収が165万円

 

<Aの場合>
・妻の年収が103万円以下の場合には配偶者控除が使える。
・妻の年収が100万円で、夫の年収が1,120万円以下の場合、配偶者控除は38万円。
・妻の年収が103万円超の場合には配偶者特別控除が使えるが、配偶者控除より金額が小さくなる。

 

<Bの場合>
・妻の年収が165万円で、夫の年収が1,120万円以下の場合、配偶者特別控除は26万円。

 

結果:Aのほうが12万円多く控除が可能!

 

まずは自分の家族の状況をしっかり把握し、どのような控除を受けられるかを確認することからはじめよう。

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