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神社仏閣へ出かけ「今年1年がよい年になりますように」と祈る初詣では、日本人にとって欠かせない新年の習慣。でも、いつごろから、どんな理由で始まったものなのだろうか?

 

「大みそかの夜から元日の朝にかけて神社に籠もり、新年の平安を祈願する『年籠もり』という風習が始まりだといわれています。ただ、現在のように元日にお参りに出かける初詣でがいつごろ定着したかは定かではありません」

 

こう説明するのは、寺と神社の旅研究家の吉田さらささん。初詣ででは寺院に参拝する人も多いが、その習慣が神社に端を発していることを考えると、やはり神社に出かけたほうがいいのだろうか。

 

「初詣では、日ごろお世話になっている神様、仏様に今年も無事に新年を迎えられたことを感謝するのが目的。神社でも寺院でも、ふだんからお参りに行く場所であることが重要でしょう。全国的には神社への初詣でが多いですが、関東では寺院へ行く人も多いといわれています」(吉田さん・以下同)

 

ただし、寺院へお参りする際は、神社での参拝方法と混同しないように気をつけたい。神社では「二拝二拍手一拝」がお参りの基本作法だが、仏前では合掌して一礼するのみ。柏手は打たないことを覚えておこう。

 

「仏教では、宗派によってお参りの仕方、数珠の使い方などが一部違いますが、初詣でのような一般のお参りなら細かく気にする必要はないでしょう。真言宗など密教系のお寺では仏像の前に真言が書かれていることがあります。真言を唱えるのは、仏様に呼びかけるようなもの。より深くご縁が結ばれるので、お参りの際はぜひ唱えてみてください」

 

お参りするからには、仏様のご利益をしっかりいただきたいと願う人は多いはず。しかし、仏教は元来、過剰な欲やこだわりを捨て、悟りを開くのが目的の宗教。そもそも現世での利益を仏様に求めるのは、間違っている?

 

「確かに自分本位のお願いばかりをするのは、本来の仏教の考え方には反しますね。ご利益を求めるより、まずは自分の心を見つめ直して反省し、悩みを仏様に聞いていただくという心構えが大切だと思います。それにより心が穏やかになれば、もう十分にご利益をいただけたといえるのではないでしょうか。具体的な願い事がある場合は、過剰な欲を出していないか、他人を傷つけるような願いではないかを考えたうえでお参りするとよいかもしれません」

 

神社でお参りするときも、エゴの強い願い事は控え、これからも家族と自分が健康に過ごせるように、平和な毎日が続きますようになどと祈ってみては。

 

「神社はもともと、地域が災害に見舞われることなく、豊かな実りに恵まれるようにと祈る場所。ですから、そのお礼から入るのが自然だと思います。その後、現実的な願い事をするのもいいですが、あまり欲張らないように。ご利益は目に見えないかたちで神様から授かるもの。すぐにかなわずとも、お願いしたのだから、少しずつでも前に進んでいると信じて、毎日を過ごしましょう」

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