「多くの人が、正しいと思ってやっている節電方法が、まったく逆効果だということも珍しくありません。エアコンや洗濯機の使用頻度が上がる夏に、正しい節電術を確かめてみてはいかがでしょうか」
そう語るのは、家電ライターの藤山哲人さんだ。
「家電は使用方法を少し工夫するだけで、年間数千円単位の省エネになります。これを複数組み合わせれば、かなりの節約ができるのです」
さらに、電力・ガス比較サイト「エネチェンジ」の広報担当・中田都季子さんはこう語る。
「一度、節電方法が習慣になると、その効果は一生続きます。ぜひ、正しい知識を得て、効率のいい家電の使い方を覚えましょう」
そこでクイズを出題。除湿・冷房はフル稼働、外に出たくないからテレビを見る時間ばかり増えていく家計泣かせのこの季節に、正しい節電術◯×方式で知ろう!
■エアコン
【Q1】節電のため、「冷房」ではなく設定温度高めの「除湿」にしている
答えは×。冷房のほうが1時間3.9円安い。
「気温が下がると、空気中の水分は水滴になります。エアコンは空気を冷やすことで、除湿を行っています。多くのエアコンでは“再熱除湿”といって、冷房で除湿した後に、冷えすぎた空気を暖房で温めて送風しています。むしろ除湿のほうが、電気代が高くなる場合が多いのです」(藤山さん)
温度を高めに設定すると、むしろ電気料金がかさむ。東京電力の調査によると、設定温度24度の1時間あたりの電気代は、冷房が11円に対し、再熱除湿の除湿が14.9円で、3.9円の差。介護などを理由に、24時間つけていた場合、月額で約3,000円もの違いになる。
【Q2】30分程度の外出でも、冷房はこまめに消す
答えは×。日中35分までの外出はつけっぱなしOK。
エアコンメーカーのダイキン工業の調べによると、日中(9~18時)で、35分以内の外出であれば、こまめにオンオフをするより、つけっぱなしのほうが、1時間あたり0.03kWh省エネという結果に。
「ただし、最新機器にはセンサーで、人が不在になったのを感知して、自動的にオフになったり、人のいる場所に涼しい風を吹き分けたりという機能が付いているものもあります。そういった新機種は、自動運転がいちばんの節約につながるでしょう」(藤山さん)
【Q3】エアコンと扇風機を併用したほうが電気代は安くなる
答えは◯。ひと夏に1部屋2,900円安くなる。
「エアコンの冷気は足元にたまりやすい。扇風機を利用すると、室内の空気を攪拌でき、顔や首まで冷気が広がります。体感温度が下がれば、エアコンの設定温度を上げることができます」(中田さん)
6畳の部屋で、扇風機を併用しながらエアコンの設定温度を26度から28度に上げると、夏3カ月で約2,900円も節約効果があったという。
「エアコンの風は水平に、扇風機は上に向けて首振りにするのがポイントです」(中田さん)
■テレビ
【Q4】10年前に買った液晶テレビなので十分省エネだ
答えは×。最新型より電気代は年間3,700円高い。
省エネの技術は年々進んでおり、同メーカーの同サイズのテレビの場合、10年前に比べて約60%も消費電力が下がっていることも多く、年間3,700円の違いになる。
「しかし、画面の枠が細くなっているので、同じ大きさでもテレビ画面が大きくなります。来年は東京五輪も控えているので、古くなったテレビをお持ちの方は、4K対応型テレビへの買い換え時かも。高品質な海外メーカーのものも増えています」(藤山さん)
【Q5】見ないときはテレビのコンセントはいちいち抜く
答えは×。待機電力はわずか1時間0.005円。
「テレビも、ハードディスクレコーダーも、待機電力はごくわずか。コンセントを抜く手間に対して、節約できる電気代はわずかなんです」(中田さん)
テレビの場合、1時間の待機電力は0.005円、年間でも44円程度にすぎない。ハードディスクレコーダーも同程度なので、こまめにコンセントを抜くくらいなら、単純に見る時間を減らそう。1日1時間、テレビを見る時間を減らすと年間584円の節約になる。
出典:東京都「2018 家庭の省エネハンドブック」、資源エネルギー庁「家庭の省エネ徹底ガイド 春夏秋冬2017」、「電気代見直しNo.1サイト『エネチェンジ』/電気とガスのかんたん比較」より