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最近は「退職金」が細分化している。年功などを考慮し、会社から支給されるものがいわゆる退職金だが、それ以外に、企業が一定の掛け金を拠出し、それを従業員がそれぞれ運用して成果を受け取る「確定拠出年金」が増えている。

 

税理士の板倉京さんは、「退職金制度をきちんと理解し、受け取り方を工夫することで、全体の手取りが増える」と力説する。

 

そもそも退職金は、年金型で受け取るか、一時金かは選べるが、受け取る時期を変えることはできない。だが、確定拠出年金は、原則として60歳~70歳までの間の好きな時期に受け取ることができる(2022年4月以降は、75歳までに引き上げ予定)。

 

たとえば、退職金が2,500万円、確定拠出年金が650万円、勤続38年のAさんを例に考えてみよう。退職金には、勤続年数に応じて「退職所得控除」として大きな非課税枠があるが、勤続38年のAさんの退職所得控除は2,060万円だ。

 

「退職金と確定拠出年金を、一度に受け取る場合は、それらを合算して、退職所得控除を差し引き、所得税を算出します。Aさんの場合は、(2,500万円+650万円)-2,060万円=1,090万円がもとになります。 退職金の場合、この元となる額の2分の1に課税されるため、545万円。この金額だと、所得税率が20%になり、所得税は66万2千500円となります。

 

いっぽう、60歳で退職金だけを受け取ると、2,500万円。先ほどと同様、退職所得控除2,060万円を差し引くと、440万円。その2分の1の220万円に課税されることになると、所得税率が10%となり、所得税は12万2千500円です。

 

確定拠出年金は翌年以降に受け取ることにしますが、その際は、退職所得控除は利用できません。となると、650万円の2分の1(325万円)が課税対象となり、税率は10%。所得税は22万7千500円です。

 

分けて受けっとった場合の納税額は、退職金が12万2千500円と、確定拠出年金が22万7千500円ですから、合わせて35万円となり、両方一度に受け取った時の66万2千500円より、30万円以上お得というわけです」

 

細かい計算はさておき、「退職金と確定拠出年金はずらして受取った方がお得」と覚えておけばよい。

 

「確定拠出年金は運用次第で受取り額が変わります。株価の変動などで損が出ているときはあえて受け取らず、運用を延長するとよいでしょう」

 

お金の制度はむずかしい。だからと言って、「知らないままでは大損をする」と板倉さんは警鐘を鳴らす。板倉さんの著書『知らないと大損する! 定年前後のお金の正解 ――会社も役所も教えてくれない手取りを増やす45のコツ』(ダイヤモンド社刊)を参考に、お得な人生を歩もう。

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