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今と昔では、ライフスタイルや不動産の価値が大きく違う。たとえ、ひと世代しか変わらずとも、親が買った不動産が大きな負担になることも。そんな悲劇を避けるため、今からできる対策をしておこうーー!

 

「相続した実家が買い手も借り手もつかず空き家状態に」と、親の家をもてあます人が増えている。’18年、総務省の「住宅・土地統計調査」を見ても、空き家は過去最高の約7軒に1軒、これが’33年には約4軒に1軒が空き家になるというのだ。

 

資産になるとせっかく手に入れた不動産は、これから少子化が進むと、買い手や借り手がつかない家あまり状態になり、資産価値がなくなってしまう。

 

「今の70〜80代は、マイホームを手に入れるために働いてきた世代で、子どもに家を遺したいと思う人も多いのですが、実際に相続してみると、それぞれ家庭の事情があって住まないので空き家になってしまったというケースも少なくないのです。空き家を放置しますと、維持費がかかるうえ、さらに、売却できないといった悪循環に陥ります。“負”動産を背負わないように、早めに対策を講じる必要があります」

 

相続・不動産コンサルタントの藤戸康雄さんはそう話す。そこで、実際に“負”動産の取り扱いに困った、というケース別に対処法を教えてもらった。

 

■実家を相続したのはいいが空き家になってしまった

 

【Q】昨年、都内で一人暮らしの父(90)が他界した。父が住んでいた築50年以上で古い一軒家をA子さん夫婦(63)が相続したのはいいが、すでに持ち家があるので空き家になってしまったという。A子さんは、息子(30代)に相続させたいと思っているが、維持が大変であり、子どもはすでに独立してマンションに住んでいる。

 

【A】都内でも空き家は早めに売却したほうがいいことも。

 

父が残した財産は、少しの現金と家だけだった。長男夫婦が相続したのはいいが、すでに持ち家がある、というケースは意外と多い。

 

「不動産が資産になるのは、都心でも白金や恵比寿など、人気のエリアの話。23区であっても、これから少子高齢化で土地の値段が下がれば資産価値も下がっていきます。空き家を放置しておくと維持費が余計にかかるのを知っておいたほうがいいでしょう。

 

特に、’15年に施行された空き家対策のための特別措置法により、倒壊する危険があるといった空き家は、自治体が『特定空き家』と指定できるようになりました。これに指定されますと固定資産税が増える場合があります。仮に強制撤去されますと、自治体から費用を請求されます。

 

また、電気やガス、水道代はかかるので、これから年金生活に入るA子さんたちの負担になります。賃貸に出すといっても、古い家はハウスクリーニングだけでは足りず、内装や風呂やトイレ、キッチンなど水回りの設備を取り替えるリフォームが必要になります。リフォーム代は最低でも200万円はかかってきます。こういう場合、土地の値段が高い今のうちに売却するほうが無難です」

 

長男夫婦は息子たちに家を遺したいと思っているが、それもやめたほうがいいという。

 

「今の若い人たちはライフスタイルが違いますので、おじいさんが建てた家に住んでもらいたいと思っても、マンションのほうがいいというケースもあります。結局、住むためにはリフォーム代がかかるので金銭的な負担が伴いますし、二世帯住宅を建てるというのも、住宅ローンがかかるのでお勧めできません」

 

不動産を売却するときは、基本的には譲渡所得税がかかるが、空き家を売却した場合3,000万円まで控除される制度があるので、条件が適用されるうちに活用しよう。

 

「この制度を受けるためには、いくつかの条件があります。相続開始の直前において、被相続人の居住用だった家屋である。相続した建物が’81年5月31日以前に建築された家屋である。建物を耐震リフォームするか、更地にすること。譲渡するまでの間、事業用や賃貸、居住用で使われていない。相続した日から3年経過する日の12月31日までに空き家を売却すること。売却金額は1億円以下であることなどが条件です。そういった条件をすべてクリアしますと、売却した場合の譲渡所得金額から3,000万円が控除されます」

 

まずは、3,000万円控除される制度が適用されるのかどうか、実家をチェックしてみよう。お得に売却が進むかもしれない。

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