値上がりし続ける電気やガスの料金--。電力大手10社と大手都市ガス4社は、’22年1月の各料金の引き上げを発表。これで5カ月連続の値上げになる。また、今年の冬は寒気が次々と来るという予報も。“暖房費”の高騰から、どう家計を守ればいいのだろうか。
「暖房費を抑えるポイントは暖める範囲を狭くすることです。リビングに接している部屋の境の襖や扉はしっかり閉めて、暖かさを人がいる空間だけに集中させます。1人ずつ暖房器具を使わずに家族一緒にリビングで過ごせばエネルギーの節約にもなります」
こう語るのは、ファイナンシャルプランナーで消費生活アドバイザーの丸山晴美さん。ついつい習慣にしているNG行為をやめれば、暖房費は大きく削減できるそう。そこで、家庭での暖房費節約ポイントを紹介。
【カーテン】×開けっ放しでガラスがむき出しに→○日差しがなければ閉める
冬場は、室内の暖かい空気が冷たい窓ガラスに冷やされ、床面に下降するコールドドラフトが起きる。日差しが入る時間帯以外はカーテンを閉めて対策を。窓全体を覆う、床まで届く厚手のカーテンが理想。
【ホットカーペット】×使わない場所まで暖めている→○断熱シートを下に敷く
人がいない部分は暖めない。3畳用と2畳用で比較すると、設定温度「中」で1日5時間使用した場合、ひと冬で約2,430円ほどの違いが。用途に合ったサイズを選ぼう。また、設定温度を「強」から「中」にすると約5,020円ほどの節約に(3畳用の場合)。床から熱が逃げるので、カーペットの下に断熱シートなどを敷くと暖房効率はよくなる。
【ファンヒーター】×設置位置が適していない→○窓際に置くのがベスト
NGというほど問題ではないが、置くなら窓辺がベスト。窓から入ってくる冷たい空気を暖められるので、コールドドラフト対策になる。ただし、カーテンと接触しないように気をつけて。設定温度を21度から20度に下げられれば、ひと冬にガスファンヒーターで約1,320円、灯油ファンヒーターで約880円の節約になる。
【エアコン】×汚れたフィルター、室外機の前に障害物→○1度ダウンで1,430円の節約
室外機の前にものを置くとエアコンの動きが悪くなる。フィルターも月1~2回清掃すると、年860円程度節約に。使用時間を1日1時間減らすと、ひと冬で1,100円ほどの削減に。設定温度を21度から20度にした場合(外気温6度)はひと冬で約1,430円の節約に!
【家族】×それぞれの部屋に人が→○ウオームシェアを心がけよう
その作業は、必ず別室ではないとできないことだろうか。できるだけ暖房をつける部屋が少なくてすむように、ひとつの部屋で暖かさを分け合うウオームシェアを行おう。
【湿度】×乾燥した空気→○洗濯物の室内干しなどで調整を
湿度を上げると体感温度がアップする。ただし上げすぎると結露が生じるので、40~60%を目安に。室内に洗濯物を干すなどすると湿度調整ができる。
【服装】×部屋の中で薄着→○カーディガン、靴下でウオームビズを
薄着で部屋を暖めるのは暖房費のムダ。不快にならない程度に、首や足首なども覆った暖かい服装を家でもしよう。
〈服装による 体感温度の変化〉靴下をはく…+0.6度・スリッパを履く…+0.6度・ひざ掛けを使う…+2.5度・フリースやカーディガンを羽織る…+2.2度。
【電気炊飯器】×ご飯を保温のまま放置→○保温は4時間までに
ホカホカのご飯がおいしい季節だが、炊飯器で保温するなら4時間までが目安だ。それを超える場合、電子レンジで温め直したほうが電気代は安くなる。
【電気ポット】×常に保温状態→○長時間、使わないときはプラグを抜く
冬は常に温かいお茶などを飲みたいものだが、夜間や外出時など、長時間使用しないときはプラグを抜こう。2.2リットルのポットを沸騰させて6時間保温状態にした場合と、プラグを抜き、使うときに再沸騰させた場合とでは、後者のほうが年間2,900円ほどの節約になる。
【ドア】×開いたまま、廊下まで暖めている→○暖房は狭い範囲で使うのが原則
暖める範囲を狭くするのが省エネのポイント。部屋の襖やドアは閉めて暖房を使おう。ただし、石油ストーブやガスストーブの場合は、定期的な換気を忘れずに。
【お風呂】×沸かしたまま放置→○お湯を沸かしたら間隔をあけずに入る
2時間放置して、湯温が4.5度低下した湯(200リットル)を毎日追いだきした場合、年6,190円程度のガス代がかかる。お湯を沸かしたら間隔をあけずに入ろう。また、シャワーを不必要に流したままにしない。45度の湯を流す時間を1分間短縮すると、年3,210円ほどの節約に。
【暖房便座】×ほかほかの便座→○シートを付けて設定温度を下げる
設定を「中」から「弱」にすると年710円ほどの節約に。100円ショップなどの厚手の便座シートを使うと、冷たさを感じない。
※経済産業省・資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」と丸山さんへの取材をもとに本誌作成
「これらの省エネ対策で、暖房費を2~3割削減することも不可能ではありません」(丸山さん)
ぜひ、これを参考に暖房費を削減してほしい。