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やたらと「自己責任」が幅を利かせる社会になってきましたが、じつは世の中には、困ったときには「もらえるお金」というものがたくさんあるんです! 書類を書くのが面倒くさいなんて言わずに、あなたもレッツ申請ーー!!

 

厚生労働省の調べによると、病気やケガによる入院患者の数は、50代を境に急上昇。読者世代にとってはまさに人ごとではない。

 

こうした事態に直面した際に「もらえるお金」として代表的なのが、払いすぎた医療費が戻ってくる「高額療養費制度」だろう。

 

自分だけでなく、扶養家族の分も含めて医療費の1カ月の自己負担額が一定の額を超えた場合、その分が健康保険から払い戻される制度だ。

 

「一般的な所得の会社員が、ケガで1カ月入院したケースで考えてみましょう。100万円の医療費がかかったら、窓口では3割負担の30万円を支払ったとしても、自己負担の限度額は約9万円になるので、約21万円が払い戻されます」

 

そう話すのは、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。 ただし、支払った医療費の一部が後から戻ってくるとはいえ、長期の入院などで金額が大きくなると、窓口で一時的に立て替えるのが困難な場合も。

 

「そんなときは、事前に健康保険組合で『限度額適用認定証』を発行してもらい、健康保険証と併せて窓口に提示すると、支払いは自己負担限度額で済みます。また、1年以内に3回以上、自己負担限度額を超えて医療費を払っているような場合は、4回目からは多数回該当になり、自己負担額がさらに少なくなるので覚えておきましょう」(井戸さん・以下同)

 

病気やケガで仕事ができなくなったときには、健康保険から支給される「傷病手当金」もある。これは、健康保険に加入していればパートやアルバイトでも対象となり、入院せずに自宅療養している場合でも支給される。

 

通勤手当などを含めた1日あたりの平均給与額「標準報酬日額」の3分の2が欠勤1日につき支給され、働けなくなった日から3日の待期期間を経て4日目以降、1年6カ月までもらえる制度だ。

 

「さらに、その病気やケガによって、初診日から1年6カ月経過した日に、要件を満たす障害のために仕事や生活が制限されるようになったときは、『障害年金』を受け取ることもできます。『障害年金』は、国民年金加入者がもらえる『障害基礎年金』と、それに上乗せされる『障害厚生年金』の2階建てなので、厚生年金に加入すると給付が手厚くなります」

 

視覚、聴覚、手足などの障害や精神障害、呼吸器疾患や糖尿病、がんなども対象になるので、該当すると思われる場合は、主治医に「障害年金を申請したい」と相談してみよう。

 

■労災かどうかで変わる「もらえるお金」の種類

 

「通勤途中に転倒してケガをした」「仕事中に荷物を持ち上げたら腰を痛めた」といったような、仕事中や通勤途中、または仕事で外出しているときのケガや病気の場合はどうだろう。

 

「そうした場合、労災と認められると労災保険が適用され、医療費の自己負担はなくなります。もちろんパートやアルバイトも労災保険に加入していれば対象になりますが、労災指定病院で治療を受ける必要があるので注意が必要。労災指定病院では『仕事中のケガ(または病気)なので労災保険で受診したい』と伝えてから受診するようにしましょう」

 

労災に該当するかどうかは判断しづらいが、主な例を以下に挙げておこう。

 

〈労災になる例〉

・通勤途中に自転車で転倒してケガをした
・社内で荷物運びをしているときにぎっくり腰になった
・得意先に行く道中、事故に巻き込まれた

 

〈労災にならない例〉

・昼休み中にランチに出かけてケガをした
・帰宅途中に買い物で立ち寄った際にケガをした
・帰宅途中に職場の仲間と食事をしているときにケガをした

 

また、病気やケガで会社を休むともらえる「傷病手当金」についてはすでに触れたが、仕事中・通勤途中の病気やケガは「傷病手当金」ではなく、「休業(補償)等給付」の対象で、日給の8割が労災保険から支給される。

 

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