21年、豪雨に見舞われた久留米市の様子(写真:朝日新聞) 画像を見る

今年も全国で豪雨災害が起きている。7月に入って、宮城県をはじめ、九州・中国地方や京都市の中心部でも、1時間に100ミリを超える猛烈な雨を記録。

 

また、わずか1時間で、数カ月分の雨が降る可能性もあるといわれる線状降水帯が発生した山口県の山陽小野田市では住宅の浸水被害が報告されており、滋賀県近江八幡市でも、高齢女性が冠水した地下道で溺れて死亡しているのが発見された。

 

これまでの常識を覆す激甚水害から命を守るため、避難に関する新常識を防災アドバイザーの岡部梨恵子さんに教えてもらった。

 

【1】予測が出たらすぐに避難

 

「とくに高齢者や小さなお子さんのいるご家庭は、お住まいの地域で線状降水帯の予測や大雨警報が出たら、それが避難のタイミングだと思ってください。避難指示を待って避難すると、ケガをしたり、衣服が雨でぬれて低体温症になってしまう危険もあります」

 

土砂災害警戒情報や氾濫危険情報が発表されたら、どんな人でもすぐに安全な場所へ避難しよう。

 

【2】逃げるときに長靴は履かない

 

「急に雨量が多くなって車が冠水するおそれもあるので、徒歩での避難が原則。上下雨ガッパを着用し、荷物はリュックにまとめて両手は空けること。傘はさしません。長靴は水が入ると重くなって歩けなくなるので運動靴で避難して」

 

【3】避難時にマスクはつけない

 

「コロナ禍ですが、雨の中マスクをつけて避難していると、鼻に張り付いて息ができなくなる恐れが。移動中はマスクを外し、避難先についてからつけましょう」

 

【4】カップラーメンをリュックに

 

「水害避難の場合、避難所ではポットの湯が置かれている程度で、食料は提供されないことがほとんど。カップラーメンや即席スープ、即席粥などを1日分ほど持参すると体も温まります。また、ラップがあれば、指先や足に巻くことで、避難所のトイレのレバーやスイッチ、床などに直接触れずにすむのでコロナ禍では衛生的」

 

【5】避難所だけが避難先ではない

 

「最寄りの避難所に行くまでの道のりに、橋や掘り下げ式の立体交差点、地下道がある場合は、大雨で冠水し身に危険が及ぶ可能性があります。事前に避難所までのルートを確認しておき、該当する場合は、別の避難所を選ぶこと。気心の知れた親せきや友人宅、ホテルに避難してもよいので、避難先の選択肢を広く持っておきましょう」

 

【6】自販機の取り出し口が水没している場所には近づかない

 

「水深20センチ(500ミリリットルのペットボトルの高さ)でも、流れがあれば足元をすくわれ溺死する場合があります。避難途中、道の傾斜や降り続く雨によって道路の水かさが増えてしまうことがあるので、足元の水量には常に注意を」

 

自販機の取り出しが見えないほど水かさが増している場所は50センチ以上水がたまっている。流れがなくとも歩行できず危険なので、絶対に近づかないようにしよう。

 

【7】逃げ遅れたらとにかく上階へ!

 

「避難が遅れ、道路に流れのある水が20センチ以上たまっている場合、外に出るとかえって危険。その場でできるだけ上階に避難を。平屋などの場合は、自宅からもっとも近い建物の上階へ。ご近所さんと日ごろからコミュニケーションを取っておくとよいでしょう」

 

避難のポイントを頭に入れて、自分や大切な人の命を守ろう。

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