「今回の地震では、多くの建物が倒壊し、たくさんの死傷者が出ました。日本であれだけ大規模な倒壊が起こる可能性は耐震性の違いからも考えにくいですが、過去の国内で発生した地震において、建物の倒壊は実際に起きています」
そう語るのは、防災対策に詳しい危機管理教育研究所の国崎信江さん。トルコとシリアの国境近くで発生した大地震では、すでに4万3千人超の死者が確認されている。また被災地では5万棟以上の建物が倒壊、または倒壊の危険があるとも報道されている。
日本の耐震基準が厳しいとはいえ、まだまだ古い建物もたくさん残っている。近い将来、南海トラフ巨大地震が高い確率で発生するといわれているなか、不安を抱く人も多くいるだろう。
「やはりふだんからの備え、そして発生時にどのような行動をとるか。その判断が生死を分ける重要なポイントになります」
もし自宅や外出先で巨大地震が発生した場合、私たちはとっさにどういう行動をとるべきか。今回は国崎さんに“命を守る行動”のポイントを、シチュエーション別にアドバイスしてもらった。
【寝室ではまず“家具の横”へ】
寝室には家具を置かないことがいちばんだが、家具がある場合、大きな揺れが発生したら“家具の横”に避難すること。家具の正面にいると、倒れてきて下敷きになってしまうことも。ぶつかって負傷すると、部屋から脱出するときに避難そのものが遅れてしまう。
【古い一軒家には耐震ベッドを】
築年数が古く、耐震住宅ではない一軒家の場合は、寝室などに耐震ベッドや耐震シェルターを設置したい。巨大地震によって建物が倒壊しても、そのスペースにいれば圧死を回避できる可能性が高くなる。ベッドなどは約20万円〜。自治体から補助金が出る場合もある。
【ビル内ではエレベーターホールへ】
オフィスビル内で大きな揺れが発生した際は、天井の崩落や照明器具の落下、書類棚やOA機器の転倒、落下物などに備えるために事務机、会議用の大テーブルなどの下にもぐる。揺れが収まったら、周囲に危険なものが少ないエレベーターホールを目指して、素早く退避しよう。