■人手不足の運送業界もねらい目
高齢化する日本社会では、医療・介護の分野もおすすめ。
「リハビリを行う『理学療法士』などは即就業につながりますが、取得までの時間と費用を考慮すると誰でも挑戦できる資格ではありません。一方、ドラッグストアなどで働ける『登録販売者』は独学でも取得できます。薬剤師に代わり、9割の市販薬を販売でき、ドラッグストア運営には欠かせない存在。給与も無資格の場合より高くなることが多いです」
さらに、将来にわたりお金や仕事の不安が高まるなか、FPやキャリアコンサルタントの需要は高く、資質や人間力があれば年収1千万円も夢ではない職業。資格を取得した後も、仕事を通して熟練することで、正社員に昇格したり、パートやフリーランスでも長く働くことが可能になるのだ。
「いままで培った経験を強みとしてキャリアアップにつながる資格を取得する考え方もあります」
こう語るのは独学で870もの資格を取得した資格コンサルタントの鈴木秀明さん。
たとえば運転が得意だという人は中型、大型免許を取得し、人手不足が深刻な運送業界で「女性ドライバー」になるという道も。企業で総務・秘書的な業務を担ってきた人はその証しに秘書検定を取得するのもよいだろう。
一方で「ITパスポート」や「基本情報技術者」といった資格は、ITに不慣れという人でも一考の価値があると続ける。
「今後も安定需要が見込めることはもちろんですが、この分野は全面的にリモートワークも可能なので、体の負担を考えるとシニアの人にこそおすすめしたいです」
’25年には43万人のIT人材が不足するといわれているIT業界は圧倒的な売り手市場。給与も高くなりやすい。
「確実に稼げる・使える資格を取得するのは容易ではありません。ある程度、資格取得のために集中して机に向かうことは必須。けれど、そうして努力して得た資格だからこそ長く生かせるのです」
たとえば、不動産会社でお客さんに契約内容の説明や契約の締結を行う「宅地建物取引士(宅建士)」は合格率が20%を切る難関国家資格だが、取得すると一生モノに。
このように、資格取得といっても独学で目指せるものから、年単位で学校に通う必要のあるものまでさまざま。取得の手間とその後稼げる金額のバランスが大切だ。
そこで編集部では、2人の専門家への取材をもとに50代から目指せる“稼げる資格”をピックアップした。取得までの勉強時間や、その後見込める収入を参考に、資格選びの参考にしてほしい。
資格を武器に、人生の後半は稼ぎまくろう!