「“泣いてもいい”とは、泣いても慌てなくていいよということなので、“泣いた方がいい”育児でも、“泣かなきゃいけない”育児でもないんです。確かに、泣きそうになったらすぐ『泣くな泣くな』とあやして泣き止ませようとするなどであれば、訴える機会を奪っているともいえます。福田さんは慌てて泣き止ませているようには見えません。
むしろ、赤ちゃんのルーティンがちょっとわかってきたら、“そろそろかな?”と準備してあげるというもの。赤ちゃんも子どももですが、ルーティンが安心するので好きです。大人が自分の都合でコントロールしてルーティンを作るということではなく、子どもが、どのように生活しているかをよく見て、知って、できることは合わせていくということです。福田さんのような手書きの生活表も面倒でやらない人もいっぱいいると思いますが、特に苦労なくできるのなら、子どもを知るという意味ではいいのかなと思いました」
では、逆にやってはいけない先回りとはどういったものだろうか。
「もうちょっと大きくなってからですが、お母さんたちは子供が困らないように先にしてあげるとか、失敗させないように親の価値観で失敗しない方法に導こうとすることがあります。赤ちゃんでも子どもでも、本人の気持ちが色々あります。お母さんが思う正しい方法や安全な方法を取らせようと、度の過ぎた先回りや過干渉しすぎるのは心配です。
失敗を回避させるのではなく、“失敗しても大丈夫。戻っておいで”という関係性を作ることが後々大事になります。ちゃんと見てくれているという安心感があるからこそ、また頑張れる。挑戦もできる。そのための安心感の土台を0歳の今は作っている最中です。だから、ママにすごく愛されていることを感じて安心するってことがとても大事なので、今はたくさん愛情を注げてほしいです」
子育てに正解はひとつではないという。
「赤ちゃんは、泣かせても大丈夫だし、泣かなくても大丈夫。あまり泣かないとお母さんが思ってるお子さんもいます。“うちの子泣かないけど大丈夫?”と心配される方もいますが、困ってないから泣かないんだよねというだけです。
子どもの生まれ持っての性質もあるので、福田さんと同じことをしてもギャンギャン泣くお子さんもいるかもしれません。あるいは、福田さんのようにきめ細かくやっていることは、大変に感じられて合わないお母さんもいると思います。でも、福田さんは無理なく楽しんでいらっしゃるように見受けられますし、赤ちゃんもママの愛情をたっぷり感じて安心できる状況なので全く心配ないと思います」
わが子を思う親の数だけ、育児の方法もあるに違いない。