エスカレーターに挟まれ窒息したケースも…街中に潜む思いがけない“死の危険”
画像を見る エスカレーターで転倒して、手すりと床の間に挟まる事故もおきている(写真:tarousite/PIXTA)

 

■看板が落ちてくるのも珍しいことではない

 

日本グラウンドマンホール工業会の大石直豪さんが語る。

 

「下水道賠償責任保険支払い件数は、年間100~180件ほど発生しており、そのうち39%がマンホール関連の事故です。内訳は、蓋と周辺舗装との段差で転倒するなどの事故が44%。老朽化し表面が摩耗した蓋は、雨の日は滑って危険です」

 

ゲリラ豪雨が気になる季節だが、マンホール内に大量の雨水が逆流し、内圧が高まるとマンホールの蓋が噴き飛ぶ事故も起こる。飛んだ蓋は、一戸建ての屋根まで届き、破損させるほどだから、人に当たれば死亡する原因にもなる。

 

「蓋が外れても、冠水していればわかりません。過去には冠水時に誤って穴に落ち、亡くなった事故もありました」(大石さん)

 

前出の野村さんも続ける。

 

「スマホに夢中になり、工事中で蓋が開いたままのマンホールに落ちてしまうケースも考えられます。マンホール内は低酸素の箇所もあるので、命の危険があります」

 

空からの落下物に関しては、2023年に、東京都江戸川区の交差点で、重さ3kgの表示板が5m落下し、70代女性がけがをした事故があった。

 

「決して珍しい事故ではありません。古くて錆だらけの看板や電柱、標識などは危険なので、日ごろから意識して近づかないようにしましょう」(野村さん)

 

機械式駐車場も、死亡事故が起こりうる。立体駐車場工業会担当者は、

 

「使い方を誤り機械式の装置を動かすとき、装置内に人がいて、機械に挟まれる事故があります。新型の駐車場と異なり、人を感知するセンサーなど安全装置が十分でない古いタイプの駐車場が、まだまだ多いのが現状です」

 

日常的に利用する電動アシスト自転車も、年間4,000件近くの事故報告があるといわれている。

 

KDDIの「自転車の安全・安心利用に関する意識調査結果」(2018年)では、電動アシスト自転車の危ない経験について、「ペダルを踏んだときに急発進した」が49.9%でもっとも多く、「重さによる転倒」(40.4%)、「小回りがきかずに急ハンドルでバランス崩し」(23.7%)などが挙げられた。

 

■スマホに夢中でホームから落ちる人もいる

 

道路ばかりでなく、駅のホームでも気をつけるべき。

 

国土交通省の資料によると、2019年度のホームからの転落件数は2,887件、ホームでの列車等との接触事故件数は160件にも上った。

 

「都心部の駅は、カーブのあるホームも多く、なかには20cm近くも隙間があったりします。ホームへの転落は酔客が多い印象ですが、スマホなどで注意散漫になっている人も要注意です」(野村さん、以下同)

 

2016年には20代女性が歩きスマホで転落し、電車にはねられ死亡した事故もあった。

 

「物を落として拾うときにバランスを崩したり、故意でなくても人とぶつかったりして、ホームから落下する危険があるので、電車を待つ際は、余裕を持って線路側との距離を空けるべきです」

 

街中で思わぬ事故に遭わぬよう、“危険な場所”を、日ごろから意識しておくことが求められる。

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