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体づくりの基礎となる食事は、「できるだけ安心・安全なものを選びたい」という思いから、パッケージ裏の“食品表示”をチェックしている人も多いだろう。

 

しかし、「食品表示の“読み解き方”を知らないと、落とし穴にはまることもある」と指摘するのは、「食政策センター・ビジョン21」代表の安田節子さん。

 

「食品表示ラベルには、最初に小麦粉や砂糖といった原材料が記載され、スラッシュ(/)のあとに、使用されている添加物の物質名が並びます」

 

ただし、記載されている添加物がすべてではないことも。

 

「多くの食品に含まれている添加物の“調味料”。これらは、複数の添加物を組み合わせることで効果を発揮する、という理由で“調味料”という一括表示になっています。いずれにせよ、添加物が少ない商品を選びたい場合はスラッシュのあとの表記が少ないものを」

 

甘味料にも注意したい。清涼飲料水や、ドレッシング、麺つゆ、焼き肉や納豆のたれなど、さまざまな商品に使用されている原材料が“果糖ぶどう糖液糖”だ。

 

「穀物に含まれるぶどう糖に酵素を添加してつくられています。少量で甘味がつき、砂糖より安価なため、よく使われるのですが、体内での吸収が早いので、砂糖より何倍も血糖値が上がります。糖尿病のリスクを避けたい場合は、できるだけ“砂糖”のみ使用しているものを選びましょう」

 

“ぶどう糖果糖液糖”や“高果糖液糖”も、果糖の含有率が異なるだけで同じ成分なので注意しよう。

 

■マーガリン以外にもトランス脂肪酸が

 

「高血圧や動脈硬化のリスクを高める可能性」が指摘され、以前から海外では摂取量が規制されている“トランス脂肪酸”。その代表格はマーガリンだが、ほかの材料にも含まれている。

 

「ファットスプレッド、ショートニング、植物油脂にも、トランス脂肪酸が含まれています。なるべく控えたい場合は、バターのみを使用しているクッキーやケーキを選びましょう」

 

“国産”とまちがえそうな“国内製造”という表記にも要注意だ。

 

「よく記載されているのがパン。〈小麦(国内製造)〉と記されていても原産地はアメリカなどからの輸入小麦であることがほとんど。輸入小麦からは、グリホサートという農薬が検出されるケースが報告されています」

 

ほかにも、油の原料となる大豆やなたね、ごまなどにも原産地表示の義務がない。

 

「多くは、アメリカ、カナダなどから輸入された遺伝子組み換え材料(ごま以外)が使用されていますが、パッケージには原材料として“食用◯◯油”のみか、“国内製造”などと記載されていることもあるんです」

 

国産原料を使用した油を購入したい場合は、〈なたね(国産)〉などと記されているものを選ぼう。油では、“抽出法”と“圧搾法”という製法にも着目したい。

 

「抽出法は、米や大豆などの原材料にヘキサンという薬剤を加えて油を抽出します。圧搾法は材料に圧力をかけてゆっくり搾るので、味も風味もよいものが多いです」

 

抽出法でも、薬剤は油に残らないと言われているが、薬剤不使用の油を選びたいなら“圧搾法”を。納豆などの食品表示に記載されていた“遺伝子組換えでない(遺伝子組み換え大豆が5%以下)”という表記は昨年3月に廃止に。

 

近年生まれた遺伝子組み換え食品の安全性については議論が続いており、数十年の経過を見なければ安全性が担保できないと指摘する専門家もいる。できれば忌避したい人はどうすればいいのか。

 

「代わって“分別生産流通管理済み”という表示が使用されています。遺伝子組み換えでないものを選ぶ場合は、この表示があるものか、国産のものを選びましょう」

 

日常的に使用する顆粒だしやスープなどにも広く使用されている“酵母エキス”。無添加食品にも使用されているが、「食品添加物にかぎりなく近い」と、安田さん。

 

「遺伝子操作した酵母が使われることもあり、酵母から引き出された強いうま味成分は食材本来の味を感じにくくします」

 

避けたい場合は、昆布やかつおなどで抽出しているものを選ぼう。意外なのが、“盛り合わせ”だ。

 

「刺身でも一種類なら、産地や養殖か天然か、解凍かなど記載する義務がありますが、盛り合わせは加工品扱いになるため、これらの記載義務がありません。産地などを知ったうえで食べたい方は、盛り合わせでない刺身を購入するといいでしょう」

 

もちろん、すべての食品添加物が危険というわけではない。ただ、自分や家族の口に入る者は何が入っているか、正しく認識しておきたいものだ。食品表示の読み解き方を覚えて、自分が望む食品を購入しよう。

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