■外国人女性が自国料理を入居者に振る舞うことも
ひとくちに“シェアハウス”と言っても、その特徴はさまざまだ。
2021年オープンの「コモンフルール」(大阪府)は、60代以上の女性と外国人女性のためのシェアハウス。
現在、1階の3室には60代の女性が、2階の6室には、日本語学校の学生など台湾、韓国、インドネシアの女性が入居中だ。
「1階、2階にはそれぞれキッチン、トイレ、バス(2階はシャワールーム)があり、階ごとに共用しています。
各部屋には家具を備え付けてあり、一般的なワンルームマンションより、バス・トイレ・キッチンなども広々としています」(管理事務局・松尾重信さん)
外国人女性が、自国料理を作って入居者にふるまったり、社会福祉協議会と共催し、1階のリビングスペースで地域のクリスマス会を開催したこともあるという。
「自立していることが入居条件ですが、入居後に介護が必要になった場合は、地域の訪問介護サービスを利用しながら生活できるうちは、居住が可能です」(松尾さん)
家賃は、60歳以上女性で48,000円(共益費:12,000円)、敷金は賃料の1カ月分で礼金はゼロ。
サ高住に入居した場合、入居一時金が10万~20万円、月額利用料が食費や光熱費込みで約15万~16万円かかる。これに比べると費用は安い。
2021年にオープンの「ノビシロハウス亀井野」(神奈川県)は、学生から高齢者まで、互いに支え合って暮らす“多世代型コミュニティ住宅”だ。
全8戸のワンルームアパートと、カフェやランドリーなどのコミュニティスペースや、地域医療を担うクリニックが入る別棟を渡り廊下で結んでいる。
「年齢や性別は不問ですが、すべての入居者には月に一度のお茶会への参加と、若者の入居者には、お茶会の主催と高齢者へのお声がけをしていただくことなどが入居条件です」(ノビシロハウス代表取締役・鮎川沙代さん)
2部屋のみ若者限定で、彼らの賃料(35,000円)は高齢者の賃料(70,000円)の半額に抑えられている。その分、高齢者への声がけや、月に一度、地域の医師も参加する“お茶会”のコーディネートをしてもらう。
「現在、70代女性3人、90代女性1人、90代男性1人、学生2人が入居されています。高齢者施設が合わなくて転居された方や、借りられるところが見つからず、こちらに入居を決めた方もいらっしゃいます」(鮎川さん)
入居審査は、高齢者一人ひとりの事情に寄り添って行う。
「年金収入等が少なくて保証会社の審査に通らない場合でも、当社で審査をして預貯金などの観点から支払能力があると判断すれば、ご入居いただけます」(鮎川さん)
むしろ重要なのは、コンセプトを理解してくれるか、という点だ。
「まず、月に1回のお茶会に体験参加していただき、お互いに合うかどうか判断します」(鮎川さん)