日本生命は、2025年1月から予定利率を引き上げると発表しました。毎月保険料を支払う「平準払い」の13種が対象で、約40年ぶりの引き上げです。年金保険は0.6%から1%、終身保険は0.25%から0.45、学資保険は0.8%から1%などに上がります。
予定利率とは、生命保険会社が加入者から集めた保険料を積み立て運用する際の利回りを指します。利回りが高ければ運用益が増えますから、加入者が支払う保険料を値下げしても契約時に約束した保険金を確保できます。つまり、予定利率の上昇は、加入者が支払う保険料の低減につながります。
たとえば、40歳女性が65歳から毎年100万円を10年間受け取る年金保険に加入する場合、月の保険料は現在の3万2千220円から、2025年以降は3万1千100円となり月1千120円安くなります。
ただし、上昇後の予定利率は2025年1月2日以降に契約した保険に適用されます。すでに加入中の保険の予定利率が上がり、保険料が安くなるわけではありません。保険は契約時の予定利率が解約までずっと続くからです。
■メガバンクの1年定期預金の金利は約5倍に
とすると、1980年代など予定利率の高い時代に加入した保険は、今も高い予定利率が続いているということです。たとえば1988年に加入した死亡保険金1千万円、30年満期の終身保険は、保険料の月1万円を30年間で360万円支払い、2018年に満期を迎えました。ですが解約しなければ、予定利率の高い運用が続き、満期から10年後の解約返戻金は555万7千円、20年後には729万6千円です。もちろん途中で亡くなったら死亡保険金の1千万円が受け取れます。予定利率の高い“お宝保険”は大切に持っておくのがいいでしょう。
保険の予定利率は1980年代の5%超から約40年間、段階的に引き下げられてきました。しかし、204年は日本銀行の利上げや市場金利の上昇があり“金利のある世界”が戻ってきました。
金利の上昇は、保険以外にも影響を与えます。私たちのメリットとなるのはお金をめるときです。銀行の定期預金金利の上昇もそのひとつで、現在、メガバンクの1年定期預金の金利はこれまでの約5倍、0.125%です。100万円を1年預けると1千250円の利息(税引き前)が付くようになりました。
反対にデメリットに働くのは、住宅ローンなどお金を借りるときです。特に変動金利は半年ごとに金利が見直され、上昇リスクが高まっています。ご注意ください。
日本生命は「今後も金利は上昇する」と予想して予定利率を上げたのでしょう。富国生命も2025年4月に予定利率を1%程度まで引き上げる方針を示すなど、最大手の日本生命に追随する保険会社もあります。いっぽうで、予定利率の引き上げに慎重な保険会社もあり、金利の行く末の不透明さを物語っていると思います。
家計にもかかわる金利の動きを、私たちも注視しておきましょう。
