■「金目の紙」を集め、「動いている紙」を分けて
いよいよ、紙片付けの実践編だ。集中して短時間で行おう。
【ステップ0】作戦会議
親に片付けの重要性を納得してもらおう。
「効果的なのは、身近な人の実例です。片付けなかったためにとても困ったという話をしましょう」
たとえば、友人の親が急に入院。親は医療保険に加入していたのに、それを知らない友人は、保険金を受け取れなかった。しかも、親のキャッシュカードが見つからず、友人が自腹を切ったらしい。
また、親が還付金詐欺に遭った知人は、親の銀行関係をチェック。年金の入金口座と光熱費の引き落とし口座が別で、親は毎月預け替えているという。知人が口座を整理したら面倒な預け替えが不要になって、親はとても喜んでいるらしい、など具体的に伝えてみよう。
親が「うちもなんとかしなきゃ」と思ったら、作戦会議は成功だ。
【ステップ1】集める
金目の紙だけを集めよう。身近な預金通帳から始め、保険証券や不動産関係なども確認して。
ただ、金目の紙と似ていても、実は不要な紙も多い。
「金融機関は『重要』と書かれた封筒で、商品案内を送ってくることも。クレカの明細や支払い済みの請求書などは過去のお金の流れを示す情報ですが、保管が必要な金目の紙ではありません」
【ステップ2】分ける
金目の紙を「動いている紙」と「動いていない紙」に分けよう。
「動いていない金目の紙は、不動産関係がほとんどです。ひとまとめにして保管しておきましょう。
動いている金目の紙は、通帳やキャッシュカード、商品券などの金券、保険や証券口座などたくさんあります。親世代だとゴルフ場の会員権などもあるかも。リストを見ながらチェックしてください」
【ステップ3】ファイリング
紙は勝手に増えていく。整理をやめると、紙だらけに逆戻りだ。
「親も続けられる簡単なファイリングシステムをつくりましょう。取っておくのは金目の紙と、健康保険証やお薬手帳に、いつも行くスーパーの割引券など、使う目的がある紙だけです」
ファイルボックスを4つ用意して、それぞれを「マネー」「健康」「暮らし」「未処理」用にする。
「新しくやってきた紙は必要かどうかを仕分けます。DMなどは玄関で捨て、自治体や銀行などの『お知らせ』は確認するだけでOK。保存の必要はありません」
保管する紙は意外と少ないそう。どのファイルボックスかを判断して、ポンポン入れていくだけ。書類をはさむフォルダーや、カード類を保管するポケット型のファイルを使えば取り出しやすくなる。
「親と一緒に整理して、やり方を覚えてもらいましょう。分類を迷うときは『未処理』ボックスへ。紙が1カ所にまとまっていれば、スッキリした部屋が維持できます。子どもが帰省したときに未処理ボックスを見直すといいでしょう」
金目の紙が片付いたら、部屋も親の気分もスッキリ、子どもは大きな安心感を味わえる。さあ、今すぐ紙片付けを始めよう。
■実家の「金目の紙」チェックリスト