食品の物価高騰が止まらず、家計負担がますます増えている。農林水産省が発表した3月の野菜の価格見通しでは、葉物野菜を中心に例年より高値が続くとの予測が。
そんななか、注目を集めているのが“規格外野菜”だ。
スーパーマーケットなどに並ぶ野菜は、農林水産省が定めた「農産物規格」に沿ってA?C品まで等級付けがされ「農協」などを通じて販売されている。ここでランク外となるものは「規格外野菜」となり、サイズが小ぶり、不ぞろい、傷や虫食いがあるなどの理由で、通常、市場には出回らない。
「『規格外野菜』は形や重さが基準に満たないだけで、味や品質はほぼ変わりません。うちでは小さいじゃがいもや曲がったきゅうりなどを定価の半額以下で販売しています。今日仕入れた『巻きがゆるい』キャベツは通常1玉300~400円のところ、100円でお店に出しました。お客さまにも好評です」
こう語るのは、福岡県の青果店「まるぞえ商店」の店主、川添俊さんだ。まるぞえ商店では、農家から直接「規格外野菜」を仕入れるなどして、格安で販売しているという。通常の約3分の1の価格で購入でき、フードロスも防げるというからよいことばかりだ。
■ネットの「規格外野菜」定期便は上級者向けと心得を
規格外野菜の需要はますます増加しており、青果店だけでなく業務用スーパーやネット通販でも取り扱われている。一方で、規格外野菜を使ってみたものの、「余らせてしまう」「傷みやすい」など失敗をする人も少なくない。
そこで今回は、規格外野菜を利用する際の注意点や活用術を、前出の川添さん、節約アドバイザーの丸山晴美さんに教えてもらった。
便利なネット通販での購入について、丸山さんは次のように語る。
「ネットでは『詰め合わせ』が多く、野菜がどれくらい届くのか事前に把握するのが難しいケースも。
そのため大量の野菜が届いたり、冷蔵庫の容量が足りず保管できないといったことがあります。購入前に家族に合った量か確認してください」(丸山さん、以下同)
「おまかせ」で野菜が届く場合、次のような難しさもあるという。
「届くまで何が入っているかわからない場合はさらにテクニックが求められます。入っているすべての野菜の量、状態を見て判断し、冷蔵庫の食材と組み合わせて調理する必要が出てくるからです。たとえば『キャベツは数日で傷みそうだから早めに食べよう』『根菜は下ごしらえして冷凍保存しよう』など、届いた時点で判断しなければなりません」
届いた野菜を見てすぐにレシピを考えるのは至難の業だ。冷凍保存や作りおきをするにしても、それなりの手間と時間がかかる。
「安いからと定期購入をすると、使い切れずにどんどん野菜がたまってしまいます。まずは1回試すことをおすすめします」
知人とシェアするのも一つの手だが、中途半端な量が手元に残るので、得策とは言えなさそうだ。
「またネットならではの注意点として、送料やクール便の配送料がかかって、かえって割高になることもあります。購入前に、最終的な価格を確認してみてくださいね」
ネット店舗はこうした注意点こそ多いものの、上手に使いこなせば節約の味方になる。
「ネット通販のメリットは何といっても買いに行く手間が省けるところ。欲しいときに手軽に規格外野菜が購入できるのは魅力です。
食材を使い切れるか不安な方に私がおすすめしたいのが、玉ねぎや、にんじん・じゃがいもなどの根菜類です。日持ちもよく、使い勝手がよいため、定番メニューで簡単に使い回せます。ネット店舗で、これらの規格外野菜があれば、ぜひ試してみてください」
また「まるぞえ商店」の川添さんも、規格外野菜で買うなら、同じく根菜などがおすすめだと話す。
「今の時季は新玉ねぎや新じゃがいもなど『新物』が出回るので、そうでないじゃがいもや玉ねぎが規格外野菜として市場に多く出るんです。そのため、通常よりもお得に購入できます」
青果店や道の駅など、直売所での“買い”野菜はあるのだろうか。引き続き、川添さんに聞いた。
「直売所でぜひチェックしていただきたいのは果物ですね。規格外の果物は、スーパーでは売られない完熟状態のものが多いです。消費期限こそ短いですが、甘味が強くてとてもおいしいんです。今の時季なら、あまおうなどのいちごがかなり安く購入できます。
傷みが気になる場合は、ジャムなどにするのもおすすめです」
つい買いすぎてしまう人は、野菜を直接手にとれる直売店のほうが「ムダ」が少なくて済むかもしれない。
この時季は、ネットで根菜類、直売所で果物をチェックすれば、いつも以上にお得においしい規格外野菜が手に入りそうだ。規格外野菜を賢く活用して、物価高をお得に乗り切ろう。
