《彼岸の墓参りが危険度増》東京にも出没…“クマ襲撃”から身を守る方法6選
画像を見る 墓地内を歩きまわるツキノワグマ(写真提供:正覚院)

 

■一度でも目撃例があれば遭遇に備えた準備を

 

では、どのような点に注意してお彼岸の墓参りに行けばよいのか。

 

「まず、クマと遭遇しないようにすることが第一です。自治体の多くは、ホームページでクマの出没情報を公開していますので、事前にお墓のある市町村のホームページをチェックしてみましょう。あるいは、役場やお寺に電話をして、直接確認してもいいでしょう。先祖代々のお墓が集落の裏山にあって管理者がいない、という場合は、地区の自治会長に連絡をとりましょう」(山﨑さん、以下同)

 

直近で目撃されていなくても、過去に出没したことがあれば、「クマがいる」と、想定して準備する必要がある。

 

「クマが人を襲うのは、基本的に人が怖いからです。そこに人がいる、とわかればクマも近づいてきません。ですから、〈ここに人がいるよ〉とクマに知らせるために、クマよけの鈴やホイッスルを持参して、鳴らしながら歩きましょう。ない場合は、大きく手を叩く、声を出すだけでもクマよけになります」

 

また、墓参りの時間や、人数も考慮したい。

 

「クマは、早朝と日没後に行動が活発になるため、墓参りは日中に。1人ではなく複数人で行くことをおすすめします。1人より2人、2人より3人で行動するほうが、クマに襲われる確率は格段に下がっていきます」

 

お墓に向かう道中は、周囲の様子にも気を配ろう。

 

「墓地周辺の木々にクマのツメ跡らしきものが付いていたり、糞が落ちているなどの場合は、決して近づかないことです」

 

十分に注意していても、出くわしてしまう可能性もゼロではない。

 

「もし、クマに遭遇してしまったら、複数人でいる場合は、バラバラにならずまとまって行動することが大切です。クマに背を向けて逃げ出すと追いかけてくるので、クマの方を向いたまま後ずさりするように、落ち着いてゆっくり距離をとります」

 

このとき、クマが威嚇のために、人に向かって走ってくることもあるという。

 

「この威嚇行動を“ブラフチャージ”と呼びますが、クマは人を驚かせるためにやっているだけなので、実際に襲いかかってくることは、まずないと考えていいでしょう。ほとんどの場合、人の目前まで来てUターンしたり、左右に散ったりしますので、慌ててクマに背を向けて逃げないこと。これをやってしまうと、クマに襲うきっかけを与えてしまいます」

 

万が一、クマが目前まで迫っても止まる気配がなかったり、突然、クマと至近距離で遭遇し、いきなり襲いかかられそうになった場合は、どうしたらよいのか。

 

「“急所”を守りつつ“伏せ”の姿勢をとることです。具体的には、頭部を保護するように頭の後ろで腕を組み、地面に伏せます。このときに、ヘルメットを着用していたり、リュックを背負っていたりすると、頭や背中をクマに引っかかれたとしても、致命傷に至らずにすむ可能性が高まります」

 

墓参りの際には、万が一に備えて、ヘルメットやリュックなども用意しておくとよさそうだ。伸縮性があり、動きやすい服装を選ぶことも重要だろう。

 

そして最後に、「あとから来る人の命を守るためにも、お供えものは持ち帰ること」と、山﨑さん。

 

「クマの嗅覚は犬の数倍優れているので、お供えものを放置しておくと、嗅ぎつけてやってきます。缶ジュースなども歯でかみちぎって飲みますので、放置しないようにしましょう」

 

人とクマの共存のためにも、こうした心得を頭に入れたうえで、お彼岸の墓参りに向かおう。

 

画像ページ >【イラスト解説あり】万全のクマ対策「万が一、クマに攻撃されたら」(他1枚)

【関連画像】

関連カテゴリー: