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(写真・神奈川新聞社)

海老名駅前の自由通路で「マネキンフラッシュモブ」と呼ばれるパフォーマンスを行った市民団体のメンバーに対し、海老名市が条例に基づき禁止命令を出したのは表現の自由を過剰に規制し憲法に違反するとして、メンバーらが市に対して命令の取り消しなどを求める訴えを16日、横浜地裁に起こした。

原告は、市民団体「#マネキンフラッシュモブ@かながわ」と海老名市議の吉田美菜子さん(32)らメンバー9人。同団体はマネキンに扮(ふん)し、路上でプラカードを掲げる「マネキンフラッシュモブ」と名付けたパフォーマンスを行っている。

訴状によると、グループは2月28日、海老名駅前の自由通路で約10人が集まり、「アベ政治を許さない」「自由なうちに声を上げよう」などと記したプラカードを持って数分間立ち止まり、ポーズを取るパフォーマンスを実施。約1時間で計10カ所の地点に移動し、活動を終えた。

この活動について、市は市の海老名駅自由通路設置条例で禁止されている集会やデモに該当すると判断。参加メンバーの一人である吉田さんに対し、今後は同様のパフォーマンスを行わないことなどを求めた命令を3月28日付で出した。従わない場合、条例に基づき5千円の過料を支払わせるとしている。

原告側は、条例自体が表現の自由を過剰に規制するもので、憲法に違反すると主張。パフォーマンスについても「静止した姿を示すだけで、デモや集会のように集団で威力を示す行動とは対極的なもの」と市の見立てに反論した。その上で、吉田さんへの命令の取り消しのほか、ほかのメンバーに対しても今後、同様の命令を出さないよう求めている。

市駅周辺対策課は「訴状が届いておらず、コメントできない」としている。

■駅前自由通路 表現の自由を

「駅前自由通路が文字通り自由な空間であってほしい」。会見で訴訟の趣旨をそう話した代理人の大川隆司弁護士が指摘したのは海老名市の条例の特異性だ。

道交法は一般の交通に著しい影響を及ぼす行為でなければ届け出は不要で、交通妨害の恐れがない行為は許可しなければならないとしている。対する市条例は(1)承認が必要としている行為が募金、署名活動、広報活動など広範にわたる(2)原則許可が義務付けられておらず、承認しなくていいという規定が「公の秩序を乱し」といった抽象的な文言で設けられている(3)集会、デモは承認の余地がなく禁止にしている-として問題視。

大川弁護士は駅前自由通路は道路と同様、人々がメッセージを発信する大切な公共の空間とした上で、「一番身近にある表現の自由を問う重要な訴訟だ」と強調した。

条例は2010年に施行され、昨年3月の改正で集会、デモが禁止された。「#マネキンフラッシュモブ@かながわ」のメンバー(52)は「市民が街へ出て政権批判など政治的主張をすることが当たり前になり、邪魔に思えているのだろう。表現の自由の締め付けにほかならず、異を唱えるために裁判を起こした」。

原告の一人で海老名市議の吉田美菜子さんは「駅前自由通路があっても条例を設けていない自治体は多い。司法の判断を仰いだ上で、条例自体の廃止を議会で提起していきたい」と話した。