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(写真・神奈川新聞社)

川崎市立藤崎小学校(川崎区藤崎)で地元発祥の伝十郎桃が実り、19日、校内で児童らによる試食会が行われた。工業化で市内から姿を消した幻の桃を復活させようと校内で栽培してきた同校。今年は気候条件が良く15個前後が実り、3年ぶりの収穫となった。

 

伝十郎桃は1896(明治29)年に農家吉沢寅之助さんが洋桃と和桃を交配して開発し、父の名前にちなんで命名した。大正にかけ量産されたが、工業化で姿を消した。後に白桃や白鳳につながる品種という。

 

同校では今夏、高さ2~3メートルのハナモモの木にピンクがかった直径4~6センチの桃が実った。2009年に茨城県つくば市の農業生物資源研究所ジーンバンクから穂木を取り寄せて接ぎ木したもので、実がなったのは13年以来という。

 

小学6年の児童6人が枝からもいだ後、教室で児童約110人で試食会。伝十郎桃の復活活動に尽力する飯塚正良川崎市議が桃の歴史を話した後、三上勤校長が「今では工業地帯だが、かつては桃やのりなどが盛んだった。地域の歴史を知って育った街を愛してください」と話した。男子児童は(12)は「売っている桃より甘かった。もっと桃を育ててたくさん食べたい」と話していた。

 

今年は一日の寒暖差が激しく、雨も少なかったことから生育が良く、市立向小学校(川崎区大島)など他の小学校でも桃が実っているという。

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