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(写真・神奈川新聞社)

 

小池百合子東京都知事が旗揚げした新党「希望の党」が、神奈川を重点区に位置付けていることが27日、分かった。新党立ち上げを主導した若狭勝衆院議員と細野豪志元環境相は同日の結党会見後、神奈川新聞社の取材に「神奈川は東京と変わらないくらい重要な位置付け」「選挙区の数も多いし、速やかに擁立作業を進める」と発言。県内全18区の大半で「擁立リスト」は埋まっているが、民進党からの「合流」を受けて再調整する可能性もありそうだ。

 

県内で出馬する候補者の選定は、細野、若狭両氏と松沢成文参院議員(神奈川選挙区)が意中の人物を持ち寄る形で協議している。

 

全18選挙区のうち、これまで6選挙区の候補者が固まった。ともに設立会見に出席した笠浩史氏は9区、後藤祐一氏は16区から出馬する。このほか1区は長島一由氏、3、10、13区は26日に民進県連に離党届を出した勝又恒一郎、市川佳子、太栄志の各氏が出馬する方向で調整している。

 

新党関係者によると、残る12選挙区も、自民党筆頭副幹事長の小泉進次郎氏が圧倒的強さを誇る11区を除いてリストは埋まっている。4区などは複数の人物が挙がっているという。

 

ただ、希望の国会議員の一人は「最終決定権は小池代表にある」と説明。「小池さんが『手あかがついているような人はダメ』と言い出し、清新なイメージの人をポンポン配置するかもしれない」と話しており、先行きは見通せない状況だ。

 

このほか、小池都知事と都議会で友好関係にある公明党の現職がいる6区への擁立は微妙な情勢。希望は、公明前代表の太田昭宏氏が出馬予定の東京12区への擁立は見送る方針で、県内の公明党関係者は「小池さんは的確に判断して対応するだろう」と語った。

 

■「政権交代の選択肢に」

 

小池百合子東京都知事が率いる新党「希望の党」の結党メンバーには、県選出の衆参国会議員4人が名を連ねた。

 

松沢成文氏(参院神奈川選挙区)は参加理由を「憲法議論をしっかり行い、原発ゼロを目指すとの方針が組み込まれた。日本の大きなパラダイム(枠組み)変化をやっていきたい」と強調。衆院選への出馬は「しない」と明言し、「参院議員の立場で全国を回り、一人でも多くの同志が当選できるよう後方支援に専念したい」と述べた。

 

笠浩史氏(衆院9区)は、自民党に代わる選択肢として国民に認知されることが重要と力説。「政権交代可能な二大政党制を定着させるとの思いで、小池代表を中心に頑張っていく」と意気込んだ。共に民進党を離れた後藤祐一氏(同16区)は、綱領で掲げた「寛容な改革保守」の実現に向け、「調和」をキーワードに挙げた。「しがらみなき改革を進め、世界各国とりわけアジア諸国との関係、国会での与野党の関係、多士済々の党内議員との関係などで調和ある政治を目指す」と語った。

 

自民を離党した福田峰之氏(同比例南関東)は「53歳になり、残された政治家人生で何をやっていくかを考え直した。既定路線でなく、もう一度青くさくてもいいから夢や希望のある政治を訴え、日本を前に進めたい」と述べた。


■「合流」に期待と当惑

 

民進党の前原誠司代表が、希望の党との「合流」を目指しているとの情報が飛び交った27日、民進からの立候補を予定している県内の衆院議員に期待と戸惑いが広がった。

 

民進の県連代表で14区から立候補予定の本村賢太郎氏(比例南関東)は、前原氏の確たる考えは未確認とした上で、「自民対非自民で1対1の構図がつくれるなら、大きな決断の一つ」と述べた。一方、「県連代表として、自分だけ生き残るわけにもいかない」と戸惑いをのぞかせた。

 

5区から出馬予定の水戸将史氏(同)は「唐突感はあるが、ダイナミックな展開。捨て身の大英断だ」と歓迎。「希望の党との政策に大きな差異はない」とし、「あとは公認問題がどうなるかだ」と合流構想を受け入れる考えを示した。

 

県内で唯一、公明党の現職と争う6区の青柳陽一郎氏(同)は「自分は勝てる可能性がある候補だから、希望の党がみすみす1議席を捨てることはしないと考えている」と、公認取得に自信をのぞかせた。

 

一方、12区で立候補予定の阿部知子氏(同)は「合流はあり得ない」と批判。野党が連立政権を前提に選挙協力する「オリーブの木」構想を念頭に、「比例区の統一名簿が現実的対抗策」とした。

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