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在沖縄米軍トップのニコルソン四軍調整官(中央)に抗議文を手渡す翁長雄志沖縄県知事。左はエレンライク在沖縄米総領事=20日午後、県庁

 

「もう勘弁してくれ」―。

 

那覇市で起きた在沖縄米海兵隊員による飲酒運転死亡事故から一夜明けた20日、目の前に立つ在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官に対し、沖縄県の翁長雄志知事は率直な言葉を次々とぶつけた。「何の信用もできない」と抗議する知事に対し、ニコルソン氏は終始、厳しい表情を崩さなかった。

 

県庁6階の知事応接室。報道陣の間から翁長知事が姿を見せると、一足先に入室していたニコルソン氏とジョエル・エレンライク総領事が頭を下げて迎えた。

 

知事が用意した紙を読み上げる。「『綱紀粛正、再発防止に努める』と言っても、県民は疲れ果てて何の信用もできない。とても『良き隣人』とは言えない。県民は『もう勘弁してくれ』という気持ちだ」

 

知事とニコルソン氏の距離は1メートルほどで、傍らに通訳が立った。知事の発言に時折、小さくうなずいたニコルソン氏。知事が抗議文を手渡すと、お辞儀して受け取った。

 

直立したニコルソン氏は「さまざまな取り組みで改善してきたが、努力が足りなかった」と述べた。「心からおわび申し上げる」と深々と頭を下げると、カメラのフラッシュが一斉に光った。

 

「私たちの気持ちを聞いてもらいたい」。着席後、そう強調した翁長知事は、沖縄戦以来、強いられ続ける沖縄の苦難に言及した。時に「返事は要らない」と前置きし「県民からしたら『もう嫌だ』と。この気持ちはどこに発散すればいいのか」と問い掛けた。

 

ニコルソン氏はメモを取ることもなく知事の言葉を聞き、「基地負担軽減の努力」を強調した。同氏が深く息を吐いた後、会談は終わった。予定の30分間を10分超過していた。エレンライク氏は一言も発することなく、退室する知事の後ろ姿を見やった。

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