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沖縄県那覇市内の公立17中学校のうち、16校が夏服の肌着の色を規定していることが、市議会2月定例会一般質問で明らかになった。市教育委員会は「行き過ぎた校則は見直す必要があると考えている」としているが、学校でどのような校則があり、生徒や保護者がどのように感じているのだろうか。琉球新報は2日までに無料通信アプリLINEで読者から「ブラック校則」に関する体験や意見を募った。

 

「俺の唾で消すよ」

 

20代の女性が通っていた中学では眉毛をいじってはいけないと決められていた。女性が眉をそって描いて学校に行くと、男性教師から「今すぐ消して。次描いてきたら俺の唾で消すよ」と言われたという。

 

スカート丈の厳しいチェックへは複数の人から疑問の声があった。32歳の女性は高校の時に厳しいチェックを受けた。「体育館で整列して、みんなが膝立ちする姿はとても異様だし納得がいきませんでした。抗議もしましたが、聞く耳持たずでした」

 

そのほかにも「髪の毛が茶色いから卒業式のリハーサルに参加させてもらえなかった」「華美になるからという理由で小学校で長ズボン禁止」などの実例が寄せられた。

 

この春、高校を卒業した男子生徒は「中高は厳しい校則のせいで自分を出せなかったかもしれない。後輩たちが伸び伸びと生活できる環境にしてほしい」と望んだ。

 

考える力、失う?

 

個別の事情を考慮せず、一律に規則を当てはめることを疑問視する声もあった。

 

本島中部の女性の息子は顔にあざがある。小学校まではそれを隠すため、前髪を長めにしていたが、中学では前髪を長くするのが禁止されている。「息子は自分がしたい髪形にできずショックを受けていた。でも内申書もあるので文句が言えない」と明かす。髪形以外にも一律に決まっていることが多いと指摘。「『多様性や個性を大事に』と言うが、今の学校は黙って従う子を育てているように感じる」と話した。

 

「当たり前」の思い込みも

 

一方で、長年続いてきた規則に違和感を抱かなかったり、疑問に思っても声を上げにくかったりする実態も垣間見えた。

 

本島中部の中学に通っていた女子高校生(17)は「男子生徒もいる中、制服の裾をめくり肌着の色を見せなければいけなかった。当時はここまでするの?とは思いつつも初めて校則に触れたので、他の中学校もそうなんだと思ったり、校則だしなと思ったりしていた」と寄せた。 中学生の娘がいる女性は「『中学生なんだからこのくらいの規則は当たり前』『昔からそうだよ』と言う保護者も少なくない。だから子どもも声を上げられないのでは」と推測する。

 

人権の観点から見ると

 

子どもの権利に詳しい横江崇弁護士は「人権とは人々が生存と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利。多様性や個人の尊重も含まれる。ここが出発点。子どもも権利の主体だ」と強調。「『子どもの権利を認めると統制がきかなくなる』『決まりは決まり』という意見もよく聞く。しかし、服装も頭髪も憲法13条で保障される自己決定権の一つだ。それを制約する目的は何か。その制約は合理的かという視点が必要だ」と指摘する。

 

その上で、「集団生活にはルールは必要。何がよくて何がいけないのか子どもたちに議論させて、校則を自分たちでつくるのが望ましい。子どもには参加する権利もある。自分たちが社会を作れる、社会を変えられるという経験を積むことが社会参加につながり、民主主義の根底にもなっていく」とした。(玉城江梨子)

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