【東・国頭】沖縄県東村と国頭村にまたがる米軍北部訓練場の警備を巡り、チョウ類研究者の宮城秋乃さんが、同訓練場ゲート前の通過記録を取られている可能性を訴えている。車で県道70号を走行する際、ゲートの警備員が通過を報告・記録するような動きをするという。赤嶺政賢衆院議員が、宮城さんが撮影した動画を見せて防衛省に確認したところ「警備の範囲内において、通過する人について報告、記録することはあり得る」との回答があった。
宮城さんは同訓練場返還地の廃棄物問題などを調査している。宮城さんがドライブレコーダーなどで撮影した動画では、車が通り過ぎた直後にゲート前の警備員が無線機で連絡したり、時間を確認したりするような動きが記録されている。昨年10月ごろからこうした動きが続いているという。
本紙記者は10月上旬、N1ゲートで警備員の動きを確認した。1時間で約20台の車が通過したが、無線機で連絡するなどの動きは見られなかった。記者が確認した時間帯に宮城さんの車は通っていない。赤嶺議員は「特定の個人を狙い撃ちにする人権侵害だ。警備の範囲を逸脱している」と指摘する。宮城さんは「私的な用事で道路を通ることもある。プライベートの監視だ」と憤る。
沖縄防衛局は本紙取材に「警備の目的の範囲内で状況の把握などを適切に行っていると認識している」と述べるにとどめた。ゲートで警備を担当する会社は今年2月に切り替わっており、2月以前と以降の2社とも、通過記録を取っていることを認めていない。
人権問題などに詳しい池宮城紀夫弁護士は「事実だとすれば、現にトラブルが発生していない現場で通行しているだけでチェックしていることになる。予断をもっての人権侵害になる」としている。
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