2021年3月に沖縄県内の大学を卒業する大学生の就職内定率(10月末時点)が、前年同月と比べ大幅に下落していることが25日、琉球新報のまとめで分かった。4年制7大学のうち、未集計の県立芸大と県立看護大を除く5大学すべてで下落した。下落幅は2.7~24.6ポイントで、大学間の差が大きい。名桜、沖縄、沖縄キリスト教学院の3大学は内定率が30%を下回った。新型コロナウイルスで経営が悪化した企業が求人を減らしたことや、オンライン中心の就職活動に企業と学生が対応できていないことが要因とみられる。
沖縄キリスト教学院大の内定率は前年同月比24.6ポイント減の28.2%だった。沖縄大は同11.6ポイント減の27.7%、名桜大は同9.1ポイント減の26.5%だった。琉球大は2.7ポイント減の71.4%で、70%台を維持した。沖縄国際大は16.6ポイント減の61.7%だった。沖国大は昨年度よりも学生の動向を詳細に把握しており、内定者数ベースでは前年を上回っている。
内定者の把握を学生の自己申告に頼っている大学もあり、実際の内定率は数値より高い可能性がある。企業の採用活動は続いており、内定率は今後も上昇するが、過去最高の90.5%を記録した昨年度から一転し、就職氷河期の再来が懸念されている。
県内約200社が新卒求人を掲載する就職情報大手のマイナビ沖縄支社によると、掲載社の17%が採用活動を継続している。追加で求人が出る可能性もあるという。
マイナビの担当者は、内定率の下落について「緊急事態宣言により、企業の採用活動はオンラインに移行したが、県内の企業は対応が遅れた。スタート時点で学生とマッチする機会を失った影響が出ているのではないか」と分析した。
キリスト教学院大の就職支援担当者は「他大学の学生も参加する合同企業説明会が中止され、学生の就職活動が個別化した。例年なら他大学にも刺激されて活動が活発になるが、説明会の中止でその機会がなくなり、学生側の意欲が高まっていない」と懸念した。
(吉原玖美子、稲福政俊)