「机がバキバキに…」6歳のSareeeがプロレスに魅せられた瞬間
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赤を基調としたコスチュームで全身を統一し、ショートカットの髪先から汗の雫をほとばしらせて闘う小柄な女子選手――。

 

彼女の名はSareee。24歳にして、世界最大のプロレス団体・WWEでのデビューを控える日本女子プロレス界の至宝だ。観客は、その一挙一動に目を奪われていた。

 

コロナ禍で軒並み運営に深刻な影響を受けたプロスポーツ興行にあって、プロレス界も例外ではなかった。試合中の歓声はもとより、紙テープの投げ入れから選手との記念撮影まで、プロレス会場の風物詩はことごとく自粛を余儀なくされた。

 

初代タイガーマスクとして80年代に一世を風靡した佐山サトル(63)が主宰する「ストロングスタイルプロレス」の試合は、観衆がプロレスの技術の攻防を固唾を飲んで見守るのが通例だ。しかし11月9日、東京・神田明神ホールに詰めかけた観客は、その“輝き”を目にして自粛を忘れ、思わず歓声を上げた。

 

全4試合のなかで唯一組まれた女子戦に、Sareeeはライバル・世志琥(よしこ・27)との新タッグ“オニカナ”(=「鬼に金棒」の略)で登場。

 

対戦相手は覆面レスラーのタッグ「ZAP・I&T」で、老獪な連携プレーと竹刀やチェーンなどの凶器攻撃を駆使され、若い世志琥&Sareeeは容赦なくいたぶられた。しかしSareeeが一瞬の隙をついて竹刀をかわし、ZAPチームの同士討ちを誘った。最後は体重100キロを超えるZAP・Iを“プロレスの芸術品”ジャーマン・スープレックスで投げ切り、美しいブリッジのままホールドして3カウント勝利を奪ったのだ。

 

卑劣な反則攻撃にじっと耐え、反撃のチャンスを逃さず、気迫あふれる正統テクニックで逆転し、最後に必殺技で勝利する。それは開祖・力道山からアントニオ猪木、そして佐山サトル……連綿と受け継がれた“闘魂”と“凄み”を表現するプロレス・スタイルだ。

 

そしてそれを、次代を担う女子のSareeeが全身の躍動で体現し、試合後のバックステージでは世志琥と「これが“いまのプロレス”だ」と意気軒高に語った。佐山サトルはこの日、いずれ渡米するSareeeに「ストロングスタイルの伝承」を正式認可した。

 

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