「ジャガー横田さんに夢託され…」Sareee語るWWE入りの決断
画像を見る 世志琥との“オニカナ”タッグで激闘を続けている。

自身が厳しいリングで闘ってきた「選ばれし者」という強い自負があるSareeeだからこそ、まだ「女子プロのトップを取る」ことが果たせていないと考えてもいる。

 

「……果たせていないですね、まだ。それには、誰もが認めるような選手になること。WWEに行ってトップになるのはもちろんですが、それだけじゃダメです。日本にも届かせたい。懸け橋になりたいんですね。私は、日本の女子プロレスを背負ってアメリカに行く。全女の先輩から教わったことを背負っていくので、WWEのトップでは終わりたくない。日本に波を、熱を持って帰りたいんです。そして日本のプロレスを底上げしたい。相当難しいものだと思いますが、夢が大きすぎて、未知なんですが、最終的にはジャンルの底上げをしたい、それが自分の使命です」

 

そこまで言うとSareeeはすこし目線を外し、宙を見上げるように漂わせた。

 

「……なんか、ディアナを飛び出して、シードリングに半年間行って帰ってきたときと、状況は似ているかもしれないですね……」

 

そうかもしれない。17年、煮詰まってディアナを退団し、外に活路を求めたSareee。半年して母港に戻り、出直しのつもりで体でぶつかってみると、リングの内外が一気にスパークして、好転した。

 

トップどころに勝利を収めはしたが、まだ「日本のエース」足りえていないと、現状を自己判断する。アメリカで活躍して帰国したとき、今度はプロレス界の内外で大きな反響と波紋を呼ぶのではないか、夢は無限だ。

 

しかし現在は世界中がコロナ禍に見舞われていて、まだまだ暗中模索している最中だ。

 

「本当は渡米が3月のはずだったんですが、コロナウイルスの関係で延びて、試合も半年間できなかった。そんな長い期間、試合をしなかった時期は、これまでありませんでした。すごく不安でいっぱいで、置いて行かれている感じがしたのは事実です。もちろん、できることはやってきました。渡米後もファンの方とつながれるように、通販サイトを開設したり、元気になってもらいたいとグッズ販売したり。でも、結局はプロレスをしていないとどうにもならない自分がいた。元気を与えなきゃいけない職業なのに『どうしたらいいんだろう』という暗い気持ちで。でも、ここで立ち止まっていられないなと思います」

 

WWEはコロナウイルス対策で、アメリカで最大のイベント『レッスルマニア』がノーピープル(無観客)マッチでの開催となった。コロナが一定の収束をみせるまでの任意の期間、Sareeeの契約は継続したままで、あえてニューヨークに「招聘しない」方針を示し、現在もその状態が続いている状況である。それはSareeeへの最大の配慮と敬意の表れであり、トップアスリートとして重用したい証拠だと解釈される。そもそもSareeeは、自身が申し出てトライアウトに参加したのではなく、WWEのほうからスカウトされた“特別なエリート”の立場であるからだ。

 

「渡米できない期間は、WWEから許可していただいて、『WWEカウントダウン』という扱いで、日本で試合させてもらっています。好きなプロレスができて、楽しいし、トレーニングもしっかりできているのでコンディションもいい状況です。それから、アメリカでの自炊生活を念頭に、料理も始めました!」

 

鶏肉料理を中心に勉強中で「大好きなオムライスもつくれます」と笑う。

 

「昔ながらのケチャップをかけるタイプのオムライスです。箸でちょっとずつスライドさせてお皿に乗せると、キレイに盛り付けられるんですよ! たまに破れますけど(笑)。あと、英語も勉強しています。WWEカウントダウンのプログラムとしてオンラインで2人の先生がついて、週3回2時間でプロレスの専門用語を中心に。まだまだ頑張らないといけないです」

 

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