■勝てばみんなの力、負ければ私の責任。「楽しいカーリングができるか見ているから!」
周囲への感謝を忘れないのは、藤澤も同じだ。 彼女が勤務する保険代理業・コンサルトジャパン常務の近藤征伸さん(48)は、オンライン朝礼でのエピソードを明かしてくれた。
「シーズン中だと、さっちゃんはほとんど参加できませんが、私たちは毎朝10人ほどでリモート朝礼をしています。昨年9月の代表決定戦の翌朝、司会の私は『昨日の勝利、最高でしたね?』と切り出そうとアプリを立ち上げると、なぜか画面中央にさっちゃんがいるんです!」
欠席のはずの藤澤が滞在先から、サプライズ参加してきたのだ。
「あの笑顔で『おはようございま~す!』と言うので『もう、さっちゃんからスタートして!』って」
藤澤は次のように挨拶した。
「感情を表に出して向かっていきました。応援ありがとうございました、元気をもらいました!」
近藤常務が、しみじみと言う。
「全員、拍手喝采でした。いつも元気をもらっているのは私たちのほうなのに。サプライズ参加してくれるちゃめっ気も彼女の魅力です。 北京五輪決勝の翌日の朝礼も、ひそかに楽しみにしています」
現在、北京五輪の熱戦の真っ最中だ。本橋GMは、日常業務と育児をしながら地元・常呂町から見守る。
「ここまで一人ひとりが『みんなのため』と思って歩んできました。この団結力は強いと思う。だから『勝てばみんなの力だよ、負ければ私の責任だよ』と言っています。 どの国の代表にもプレッシャーはかかるはず。ロコのメンバーには、『どれくらい楽しいカーリングをできるか、見ているからね!』と言いたいです」
予選では総当たり9戦を消化し、上位4位に入れば準決勝、決勝へと続く。
太陽のようなロコの笑顔が北京の氷上で、黄金色にきらめく。
(取材・文:鈴木利宗)