■反戦運動で身柄を拘束され、戦場に送られる可能性も
ロシアのアスリートたちが置かれている状況は「非常につらいものだ」と中村教授は言う。
「ロシアのトップアスリートたちは、メダルを目指すために、国家予算を投じられて、小さいころから養成してもらっています。国に恩があって、感謝はしているんです。でも心の中では、“いまやっているこの戦争は間違っている”と、みんな感じていると思います。
一方で、いま、プーチンに真っ向から反対することは拘束されたり粛清にあう可能性がある。だから『戦争には反対しない』と言っておかなければなりません。“反戦”“反プーチン”と言っただけで、非常に身の危険があるのです。“平和”という言葉ですらです」
たとえば、ロシアのスケーターで、平昌五輪の女子の銀メダリスト、エフゲニア・メドベージェワ(22)はインスタグラムに反戦メッセージとみられる投稿をして、世界から“勇敢な行動だ”と喝采を浴びている。
しかし中村教授によると、「かなり際どい。今後、身柄を拘束されてもおかしくない」という。
「いまもロシアでは、若者を中心に、反戦運動をして身柄を拘束されている人たちがいますが、彼らは今後ウクライナの戦場に送りこまれる可能性があります。反戦を訴えた者は従軍させるという法律が3月3日からロシアの連邦議会で審議中なのです」
中村教授は、さらに続ける。
「私の見立てですが、今後、現役の選手たちの多くはロシアから国外に出るでしょう。そうしないと国際競技に出られませんからね。だからスポーツ大国としてのロシアは終わりだと考えています。すべてプーチンがダメにしたのです」
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