長友佑都が絶賛 W杯初の女性主審「審判としてならサッカーに貢献できるかも」
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■背中を押すのは「全国のどこかで、孤独な境遇でトレーニングしている審判仲間の姿

 

「JFAから連絡をもらった瞬間、まずは驚きでした。そのあとすぐ責任の大きさが頭を駆け巡って。身が引き締まる思いでした」

 

山下さんは今年5月、ワールドカップの女性主審に世界で初めて選出された3人のひとりとなった。

 

その吉報を本人からLINEで受けた坊薗さんは、「すごいことになっちゃったね!」と打った後、「ごめんね」と添えている。

 

その真意を坊薗さんは、

 

「女性初として否応なく注目されます。日本代表、しかも、世界の女性代表として『失敗したら女性審判の発展が滞る』という重圧は計り知れませんから」

 

なぜ山下さんが世界に評価されたのか。前出の山岸さんが分析する。

 

「まず前提は、フィジカルの強さです。主審は資格取得後も男子のフィットネステスト基準を年1回、必ずクリアしなければいけない。それを継続する力が試されます」

 

同テストはかなりハードな内容だ。40mタイム走6本のあとに、インターバル走75m+徒歩25mをなんと40セット……。

 

日ごろから選手並みに練習が欠かせないのは、そのためだ。

 

山下さんは’10年以降、大学職員を辞めてスポーツクラブのインストラクターになり、1日2時間のトレーニングを続けてきた。

 

「チームの練習が多い選手と違い、審判のトレーニングは孤独です」

 

こう言って山下さんが続ける。

 

「仕事をしながらトレーニングに向かうのはつらいし、苦しい。どこまで妥協せずに続けられるのか、自分との闘いになってきます」

 

そんなとき彼女の背中を押すのは、「全国のどこかで、同じ境遇で頑張ってトレーニングしている審判仲間の姿」だという。

 

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