「毎年たくさんの新しいお菓子が発売される中で、ロングセラーになるというのはとても難しいこと。消費者に選び続けてもらうためには、認知度の高さだけでなく、小売店や問屋さんが安心して扱えることも必要ですから」
こう語るのは、お菓子業界の事情に詳しい『月刊フードニュース』の田中健さん。競争の激しい菓子業界では、10年以上生き残り続けるだけでも極めて難しいという。
「ロングセラーには、おいしくて安い商品が多いですが、それだけで何十年売れ続けるというのは難しい。きっと何か秘訣が……私もぜひ、知りたいですね(笑)」
そこで、ロングセラーお菓子の「知らなかった〜!」と、会話が盛り上がること必至のトリビアを総力取材!これまで慣れ親しんできたお菓子たちの“知らなかった味”を、ぜひご賞味あれ。
【お菓子トリビア1】「ベビースターラーメン」は、即席めんのかけらから生まれた
もともと即席めんを製造していた創業者が、「めんのかけらがもったいない」と考えたのが「ベビースターラーメン」誕生(’59年)のきっかけ。「味付けをして油で揚げ、従業員や近所の人たちに振る舞ったところ『おいしい!』と大評判になりました」(おやつカンパニー広報)。今年は約20年ぶりに3代目新キャラクターも登場し、新たな歴史を刻んでいきそうだ。
【お菓子トリビア2】「パインアメ」には発売当初、穴が空いていなかった
輪切りのパイナップル形でおなじみの「パインアメ」だが、実は最初、中心の穴がなかったという。「発売当時(’51年)は穴を空ける技術がなく、輪切りのパイナップルの柄を型押ししただけでした。しかし初代社長の“アメに穴を空けないと完成品じゃない”というこだわりの結果、初代品完成から2年後の’53年、ようやく現在のパインアメの原型が完成しました」(パイン広報)。
【お菓子トリビア3】「サッポロポテト」という商品名は、札幌冬季オリンピックにあやかったもの
’72年に発売された「サッポロポテト」は、同年開催の札幌冬季オリンピックが由来。「北海道はじゃがいもでも有名ですが、当時は五輪開催で札幌が注目されていたことからの命名なんです」(カルビー広報)。ちなみに、その2年後に発売された「バーベQあじ」は、実は開発当初はカレー味だったものが、アメリカに出張していた社員からの提案で「バーベQあじ」に変更されたそう。
【お菓子トリビア4】「ミルキー」の商品名には「ジョッキー」という候補もあった
「ママの味」のキャッチフレーズで親しまれてきた「ミルキー」(’51年発売)。「開発段階では『ジョッキー』と名付けられましたが、牛乳そのままの味を生かしていることから、『ミルキー』と命名。最初は不二家・銀座店で売られ、箱入りで10円だったといいます」(不二家広報)。
【お菓子トリビア5】「フエガム」は口笛を吹けない子どもたちのために開発された
実は、「ガムを粉末にする」「粉末状ガムの成型」「成型食材の貼り合わせ」という3つの特許技術を駆使して作られている「フエガム」(’60年発売)。「大人のまねをしたい、口笛を吹けない子どもたちに向けて、遊べておいしいものを、と考え誕生したのがフエガムです。手でガムを貼り合わせて作っていた発売当初の苦労も、機械で貼り合わせる技術が特許となることで解決しました」(コリス広報)。
「人に歴史あり」ならぬ、「お菓子に歴史あり」のエピソード。きっと誰かに話したくなること間違いなし!