「家事の負担が女性の社会進出を妨げていると、国や自治体が家事代行サービスの普及に力をいれています。それに合わせて、提供されるサービスの価格やプランも多種多様になってきているのです」
そう語るのは、生活経済評論家で、会員制家事サポートサービス『フラオ グルッペ』代表も務めている沖幸子さん。今年から大阪府や神奈川県で外国人によるサービスが解禁されたり、東京都ではサービスの品質がわかる認証制度が始まったりと、一般家庭を対象にした家事代行サービスが広がりを見せている。
「現在、家事代行サービスを利用したことがある人は3%程度です。他人を家のなかに入れることに抵抗感があったり、家事は人に任せるものではない、という心理的なものが壁になっています。その一方で、家事に時間と労力をかけず、質の高い暮らしをしたいというニーズも年々高くなっています。心豊かに生活を営むアイテムのひとつとして、家事代行サービスが注目されているのです」
家事は夫婦で分担する時代といわれるが、’12年に行われた経済協力開発機構の調査では、女性の1日の平均家事時間は299分(約5時間)。男性の62分と比較すると、まだまだ差は歴然だ。とはいえ、家事すべてを代行サービスに頼むとなると、かなり高額になってしまいそうだが……。沖さんが続ける。
「掃除、洗濯、炊事などのプロが行うのが、家事代行サービスです。すべての家事を任せるとなると、それなりにお金はかかります。でも、自分の財布と相談して、部分的に利用することも可能なのです。外食してプロの味に舌鼓を打つように、家事のプロのテクニックを体験すると考えれば、もっと身近なものとして利用できるはずです。サービスを利用している時間で、本を読んだり、趣味を楽しんだりしてもいいでしょう。プロのテクニックを学ぶ機会と捉えてもいいかもしれません。いずれにせよ、手ごろな価格で心を豊かにできることが重要なのです」
そこで沖さんに、家事代行サービスの上手な利用術を聞いてみた。
「まずは、自分のライフスタイルや経済状況とともに、どんな家事が苦手かを知ることが重要です。家事のすべてが大好きという人はそれほどいません。料理は好きでも掃除は嫌い、洗濯物干しやアイロンがけは苦手……など。その苦手な部分のみ、家事を代行してもらうのがベストです。料理が好きなのに、炊事を頼むとか、掃除が気分転換になっているのに掃除のサービスを利用しても無意味です。経済的な負担にもならないよう、自分に不足している部分を補う“サプリ”のつもりで、家事代行サービスを利用するといいかもしれません」
自分の手の行き届かないところを補い、毎日を豊かにしてくれる“相棒”として、家事代行サービスを頼ってみてはいかが?