(写真・神奈川新聞社)
成人の日の9日、県内では多くの若者が門出を迎えた。新成人に「10年後の日本は良くなっているか」を聞くと、回答は楽観と悲観が入り混じった。少子高齢化、繰り返す自然災害、景気の悪化に不安を感じながらも、それぞれが「自分を強く持ち、未来を選ぶ」と誓いを新たに一歩を踏み出そうとしていた。
■いい方向に
10年後の日本は少子高齢化が進んでいると考えるのは、横須賀市の大学生中川咲恵さん。福祉や介護を「自分たちの世代で支えきれるのか」と不安を口にする。それだけではない、「繰り返し自然災害が起きて、10年後は悪くなっていくのでは」。
昨年3月に結婚し、子育てに奮闘している川崎市川崎区の会社員岩渕めぐみさんは、行政の子育て支援策に不満がある。「子どもを預ける保育園が決まらない。もっと受け入れを増やしてほしい」と憤る。
閉(へい)塞(そく)感を感じさせる将来にどう向き合うのか。秦野市の大学生渡邉亮さんは「良くなっていくと思わなければ」と断言する一人。「理想は一人一人が夢を持ち、チャレンジできる自由や経済的な豊かさがある社会。いい方向に変わってほしい」と前を向く。
■ゆとり世代
社会だけではなく、心の問題に目を向けるのは平塚市の大学生 樽木章宏さん。「優先席に若者が堂々と座っているなどモラルの低下、精神面の低下を感じる」。一方、横須賀市の大学生 石部憲都さんは、自分たちの世代だからできることがあると考えている。「10年後は自分たちゆとり世代の時代。駄目だといわれているが、これまでと変わった考え方ができる。日本は良くなっていく」
では、どのように社会を良くしていくのか。伊勢原市の大学生飯田杏さんは、選挙が鍵になると思っている。「自分も含めて多くの人が時代に流され、刹那的に生きているように感じる。一人一人が思考力と想像力を養い、自分を強く持ち、未来を選んでいかないといけない」