「人間の筋肉の6割以上が下半身に集中しています。なかでも、太ももについている大腿筋はもっとも大きな筋肉。太ももには筋肉もしっかりつけたほうが、さらなる健康増進につながるんですよ」

 

こう語るのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生。生活習慣病の原因となる内臓脂肪を燃焼するには、基礎代謝量を上げること。それには筋肉をつけることがいちばんで、大きな大腿筋を鍛えることは、代謝アップの近道だという。さらに、太ももの筋肉を鍛えれば、認知症の予防にもなることがわかってきたそうだ。

 

「筑波大学の研究では、大腿筋を中心とした下半身の筋肉と脳の認知機能に、密接な関わりがあるとのこと。運動の種類によって、刺激される脳の部位が変わってくることもわかっています。たとえばウォーキング。早足で10分間ほど歩くだけで、脳の『海馬』が刺激されるといいます」

 

海馬は記憶や学習能力をつかさどる、まさに認知機能の要。1日10分のウォーキングを6週間以上続けると、認知機能そのものも向上するという。

 

「もう少し運動強度を上げて、軽いランニングをすると、今度は前頭前野を刺激。ここが活発に働くと、集中力や判断力がアップします」

 

お年寄りの場合は、足腰が弱ると外出頻度が減ってしまうため、「廃用症候群」といって脳の老化が加速するそう。健脚を保つためにも、大腿筋を鍛えることが重要なのだという。

 

「全身の健康にこれほどまでに深く関わっている太ももの筋肉。あまり運動習慣のない方は、速足で歩くことから始めてみましょう」

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