メジャーリーグの選手たちがガムを噛みながら試合をするのは、もうおなじみ。ガムをかむことで、副交感神経がアップし、リラックスできるから。さらに、一定のリズムでかむことで自律神経が整い、血流がよくなり、全身の細胞に酵素と栄養が行きわたることで、パフォーマンスが上がることも実証されている。

 

「そんなガムについて、注目のニュースがありました。それは、腹部の手術をするとおこりやすい腸閉塞が、ガムをかむだけで予防できるというものです。腸がつまることで、腹痛やおう吐などを引き起こす腸閉塞は術後、重症になると再手術が必要になったり、死亡してしまうケースもあります」

 

腸閉塞を予防するのに必要なのは、運動機能が低下した腸を刺激すること。そのためには食事をすればいいのだが、手術後では患者に大きな負担となる。これまで多くの医師が頭を悩ませてきたそう。そこで「革新的で低コストの予防策」として、注目されているのがガムだという。

 

「その研究ではおなかの手術後、ガムをかむことで腸の回復期間が短くなったり、入院期間が短縮されたりする可能性もあると報告されています。ガムをかむだけで、自律神経が整うとともに、胃腸や血管などに広がる迷走神経も刺激され、本来ならば食べ物を摂取することによって分泌される、腸の運動にかかわるホルモンが多くつくられるのです」

 

咀嚼がものをこまかくかみ砕くことで胃腸の負担を減らすことは、ご承知だろう。

 

「それだけでなく、かむだけで腸の活動が刺激されるのならば、機能低下によって便の回数や量が減少する『慢性便秘』も改善されると考えられます。加齢や忙しい生活が原因でおこる『弛緩性便秘』には効果的でしょう。お腹が張り、肌荒れや肩こりなどの症状がある『弛緩性便秘』に、ガムが有効な改善策のひとつになるかもしれませんね」

 

柔らかい食べ物を食べる機会が多い、現代社会に生きる我々は咀嚼回数が減少している。1回の咀嚼回数は、弥生時代が4千回近く。戦前でも1,400回ほど。それが今では600回程度に落ち込んでいるという調査も。

 

「その減った咀嚼回数をガムによって増やすのです。みなさんも、ガムの力を借りて、血流をアップさせ、元気な腸を作りましょう」

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