「100兆もの細菌が私たちの腸の中に住み着いていますが、その集合体を『腸内フローラ』と呼んでいます。最近の研究で、肥満の人の『腸内フローラ』は『バクテロイデス』というグループの細菌が少なく、痩せている人ほど多いことがわかってきました」
そう語るのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生。この「ヤセ菌」ともいえる「バクテロイデス」の特徴は、食べ物を分解して「短鎖脂肪酸」を作り出すこと。
「この『短鎖脂肪酸』が、血液を通って全身に運ばれ、脂肪が過剰に蓄積するのを防いだり、交感神経を高めて代謝を活性化させたりします。その結果、太りにくい体質を作るのです。そんな夢のような『ヤセ菌』を腸に入れたら、痩せられると思ってしまいますが、そう簡単なことではありません。というのも、母親から受け継いだり、成長の過程で作られたりした『腸内フローラ』は、簡単に入れ替えができないからです」
重要なのが「ヤセ菌」のエサとなるものを、多く取って、もともといるものを増やすこと。
「『ヤセ菌』の大好物は、食物繊維です。食物繊維には、昆布やワカメ、長芋やオクラなどネバネバ系の食材に代表される水溶性食物繊維と、大豆やイモ、キノコ類などの不溶性食物繊維があります。『ヤセ菌』が元気になるのは、水溶性1に対して、不溶性3の割合が理想的と考えています。さらに、ヨーグルトや漬け物など乳酸菌が多い食材も効果的です」
「ヤセ菌」が活躍しているかどうかわかる方法は、次の3つ。
【1】3日以上、便意がない
【2】便意の時間が一定でない
【3】トイレに3分以上入っている
ひとつでも当てはまると、腸の中の「ヤセ菌」は元気を失っている可能性が。食物繊維をしっかり取って「腸内細菌」を大切に育てていこう!