「夫婦げんかもしますけど、原因は仕事のことがほとんどです。よく意見が合わず、ぶつかるんです」

と語るのは、大塚洋子さん(35)。彼女はケイ・ブックス会長の大塚健さん(47)の妻で、社長でもある。118日に出版されたビジネス書『難病で寝たきりでも「他力本願」で年間50億円稼ぐ!』(青志社刊)の著者・健さんは’92年にケイ・ブックスの前身であるコミック専門のリサイクルショップを起業。その後、アニメグッズを扱うショップや「執事喫茶」も事業に加え、年商50億円の企業に成長させた。

5歳で筋ジストロフィーを発症した、寝たきりの経営者が成功した陰には洋子さんの献身があった。出会いは’94年、16歳だった洋子さんが、コミック専門店の店員募集に応じて、採用されたとき。当時、社長だった健さんは「厳しかったです。怒られて悔しくて、見返してやろうと思ってました」(洋子さん)

しかし、健さんはいつのまにか、洋子さんを意識しはじめ、店で告白した。洋子さんは「いいよ」と即答したそう。「すごく尊敬していましたし、障害をマイナスと思うことはなかったです。彼の『一緒にいたい』という言葉は、トイレの世話も含まれますが、それもイヤじゃなかった」(洋子さん)

2人は’96107日に結婚式を挙げた。洋子さんの19歳の誕生日だった。

019月に、健さんが誤嚥性肺炎で意識不明に。気管支切開をして人口呼吸器を付けた。このとき、洋子さんが夫に代わり社長に就任、健さんは会長となった。現在は健さんの唇の動きを読める母の静江さんが売り上げの報告などを読み上げ、声が出せない彼に代わって、洋子さんが各店舗への指示を出すなど会社経営をサポートしている。

「彼が描いているお店のイメージを、ちゃんと形にすることが私の仕事です」と洋子さん。結婚16年、年商50億円を売り上げる企業に成長しても、2人の思いは変わることはなかった。

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