電話料金は安くなる格安スマホ。でも、そのデメリットを知らない人が多い。実際の事例からその落とし穴を学ぶーー。
「“格安スマホ”に関する問い合わせが、年々増えています。とくに高齢者から、サービスに不満があるという声が多く寄せられています」(国民生活センター広報部)
総務省によれば、契約されているスマートフォン(以下、スマホ)の12%以上が格安スマホ(MVNO)の利用者で、契約数は’19年9月時点で約2,300万件。3年前の倍近くになった。そもそも“格安スマホ”とは?
「携帯電話サービスを提供するには、通信設備を整える必要があり、巨額の投資が必要です。そこで、NTTドコモ、au、ソフトバンクという大手キャリアから回線の一部を借りることで、サービス運用費をグンと安く抑えているのが、格安スマホなんです」
そう教えてくれたのは、ITジャーナリストの鈴木朋子さん。現在、数百社の格安スマホ業者があるが、最大のメリットは何といっても、安く利用できること。
「大手携帯電話では6,000円前後の月額料金が、格安スマホなら2,000円を切ることもあります」
夫婦2人で5,000~1万円ほどの節約になるとあって、人気は急上昇中だが、安さだけに引かれて飛びつき、デメリットに後悔する人が続出している。’15年以降、国民生活センターへの相談が急増し、トラブル相談は年間2,000件以上に上る。うち3割超が60歳以上の人からの相談だ。
これら、高齢世代の実際の相談事例をもとに、トラブルの実態と回避法を、スマホ専門家の津田マリリンさんが解説してくれた。
【相談1】「5分までの通話なら何度でもタダ」というプランに入っているはずだったのに、4万円を超える通話料金の請求が
スマホには自動で画面が暗くなるスリープ機能がある。「電話が切れた」と勘違いして放置し、話し相手も同様に放置すると、通話がつながったままに……。
「各業者、一定時間までは通話料無料の、いわゆる“かけ放題”プランを用意していますが、そこから外れると、料金が高額になることが多いので注意が必要です。通話中であれば、画面上部が光っている、受話器のアイコンが出ている、通話時間を表すカウントが動いているなどの目印があるので、確認するようにしましょう」(津田さん)
通話後、スマホを置く前に一度スマホをタップして、画面を確認するという習慣をつけておいたほうがいいかもしれない。
【相談2】利用明細はネットを通じてしか確認ができないのだが、料金を確認するアプリのIDとパスワードをなくし、調べることができなくなった
利用料金の請求書や利用明細書の発行は有料か、または行っていない業者がほとんど。
「スマホを契約するとき、いろいろな場面でIDやパスワードの設定を求められます。大切に管理して、請求料金などに間違いがないか、月1回は確認を」(津田さん)
覚えやすいからといって、生年月日などあまりに単純なものにすると、セキュリティ面で問題がある。複雑に設定したものを紙に書いて保存しておくのがいい。
初心者にはまったく優しくない格安スマホ。慣れないことには、お財布の心強い味方になってくれないのだ。
「女性自身」2020年2月25日号 掲載