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「主人と外食に行くといつも決まって喫煙席に。ただでさえたばこの煙が苦手なのに、喫煙席に少しいるだけで服や髪に臭いが染みついてしまって……。帰宅するとすぐ、シャワーを浴びて煙を洗い流す生活がもう何年も続いています」

 

こう語るのは、喫煙者の夫を持つ都内在住の50代主婦・佐藤さん(仮名)。妻から夫への数ある不満のなかで、本誌読者からも多く寄せられているのがたばこ問題だ。なかでも大きな問題となっているのが、外出先で“喫煙席と禁煙席どちらを選ぶか”という戦いだ。小学生の子どもを持つ主婦の是枝さん(仮名)は悩みを明かす。

 

「子どものために禁煙席に座りたい私と、たばこを吸いながら食事をしたい夫でけんかになることがしばしば。禁煙席に座っても、夫はたばこを吸いたいのかずっとイライラしている様子……。外食しても心が安らがないことがよくあります」

 

そんな吸わない妻たちに朗報が。この4月から日本全体で分煙ルールが法制化されるのだ。東京オリンピック・パラリンピックに向けて“望まない受動喫煙”をなくすため、’18年7月に健康増進法の一部改正が成立。4月1日から全面施行されるのだ。

 

法改正で変化する飲食店の喫煙ルール

 

これにより「飲食店やオフィスなどの屋内が原則禁煙。喫煙専用室でのみ喫煙が可能に」「喫煙室には標識の掲示が義務化」といったルールが定められることに。またシガーバーなどの一部例外を除き、飲食をしながら紙巻きたばこを喫煙することはできず、喫煙専用室内のみ可能となる。

 

喫煙者と非喫煙者のすみ分けが明確化されることで、夫婦の店選びにも変化が生じる。そこで、本誌読者がよく利用する飲食店の対応を調査。対応を見ると、全席禁煙化しつつ喫煙専用ブースを設置する飲食店がほとんどで、喫煙者にも配慮した形だ。

 

各担当者に利用者の反応を聞いてみると、「紙巻きたばこをご利用の方には苦情をいただくこともある」(ドトールコーヒー)という否定的な意見もあったものの、「大変喜んでいただけるお客さまが多い」(サイゼリヤ)といった好意的な反応が多く占めていた。ココスやジョリーパスタなどを展開するゼンショーホールディングスの担当者は「賛否両論ある」としながら、分煙徹底化による影響をこう語る。

 

「お客さまからは『(店に)入りやすくなった』『時代の流れとして当然』『喫煙席がすいているのに禁煙席が満席で待たされるということがなくなっていい』といった声をいただいております」

 

家族で利用する機会の多いカラオケ店でも対応が進められている。全国展開している「まねきねこ」では’19年9月から全店全室禁煙化を進めており、女性グループや子ども連れの利用客がすでに増加しているという。しかし、調査した一部の飲食店からは「全席禁煙にしたことで喫煙者の客足が減っている」といった経済的打撃を訴える声もあがっている。喫煙者の利用客も多いドトールコーヒーの担当者はこう語る。

 

「立地によって異なるので一概には言えませんが、全面禁煙に改装した店舗では、一時的に売り上げはダウンするも、徐々に従来とは異なる客層のお客さまが来店されるようになった事例もあります」

 

一目でわかる分煙標識

 

吸わない妻にとってはうれしいことばかりな今回の法改正だが、吸う夫はどのように思っているのだろうか? 1日に1箱以上を吸うヘビースモーカーの50代男性・高橋さん(仮名)はこう語る。

 

「今まで妻と食事に行ったときは、わがままを言って喫煙席に座ってもらっていました。しかし、妻もかなり煙たそうで、罪悪感を感じていました。分煙が徹底されることで、家族との外食中に吸いたいときは自分が喫煙室に行けばいいだけなので、気を使わなくてよくなるのがうれしいです。お互いにとってもいいことだと思います」

 

前出の主婦・佐藤さんも明るくこう語ってくれた。

 

「できればたばこそのものをやめてほしいと思っていましたが、分煙が徹底されてお互い気持ちよく過ごせるならいいかもと思うようになりました。これで夫との外出にも前向きになれる気がします」

 

分煙徹底で、夫婦関係のモヤモヤも晴れそうだ――。

 

「女性自身」2020年4月14日号 掲載

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