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「新型コロナウイルスの影響でコロナうつが増加しています。うつ病はまじめで責任感が強い人ほどなりやすいといわれるとおり、性格や物事の捉え方が、病気のリスクに関わることもあるのです。しかし、性格が病気の発症に影響するのは、何もメンタル系の病気に限りません。実は心筋梗塞や認知症といった病気も、性格が関係しているのです」

 

そう語るのは、東北大学医学部の辻一郎教授。現代病ともいえるこれらの病気が、性格とどう関わっているのだろう?

 

■嫉妬深い女性は心筋梗塞になりやすい

 

がんに続く日本人の死因第2位は「心疾患」。そのなかで、もっとも多いのが急性心筋梗塞だが、性格との関わりを一言でいえば「ムカつきやすい人」は、発症リスクが高いといえそうだ。

 

「アメリカの心臓内科医フリードマンによると『競争心が強い』『せっかち』『敵意を燃やしやすい』といった人は心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患になりやすい傾向があるといいます。これらは英語で表現した頭文字をとって『タイプA』と呼ばれていますが、自律神経のなかでも車のアクセルにたとえられる『交感神経』の働きが強いと血圧が上がりやすく、心拍数も速くなるため、これが血管にストレスをかけて動脈硬化のリスクを高める鍵になると考えられます」

 

日本でいえば昔はやった「モーレツ社員」タイプだが、会社員だけが「タイプA」になりうるかといえば、もちろんそうではない。

 

「『人の悪口をよく言う人』も冠動脈疾患のリスクが高いといわれています。専業主婦でも、嫉妬深い場合は気をつけましょう」

 

なお、同じモーレツ社員でも、チームワークで働いている人の方が心筋梗塞の発症リスクが少ない。

 

これはチームワークで働くことにより、自然と周囲とのコミュニケーションが密になり、メンタルも安定するからだという。言い換えれば、人間関係が希薄だと気持ちがささくれやすいのだ。

 

「このコロナ禍で人と会う機会も減っていますが、人間は元来、褒められたい、認められたい生き物です。長引く自粛で孤独が深まりやすいときだからこそ、いつも以上に外の社会とつながって『褒め合う』ようにしてください」

 

■がんこな人は認知症になりやすい

 

世界に先駆け超高齢化社会に突入した日本。2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるといわれているが、この新たな国民病にも性格が関係している。

 

「認知症は、脳の海馬という“新しいことを記憶する”部分が加齢によって萎縮することから始まります。お年寄りが昔のことは覚えているのに、昨日食べたものを思い出せないというのはその典型例です。海馬の萎縮を防ぐためには、脳に新しい刺激を与え続けることが重要です。また、海馬は感情とも関係が深く、うつ状態になると萎縮しやすい傾向にあります。そのため、神経症的な傾向(うつ状態になりやすい)があり、がんこで内向的な人は認知症になりやすいといわれています」

 

問題は社会に出なくなってしまうこと。脳が新しい刺激を受ける機会が減るだけでなく、孤独はうつ症状、ひいては認知症になりやすい。無理に社交的になる必要はないが、脳のために外に出ることは諦めないようにしたい。

 

■肥満への風当たりが強くなっている

 

最後に、それ自体は病気ではないものの、放置すればさまざまな病気のもとになる肥満と性格について。

 

「痩せ型の人が多い日本では、従来、肥満に対して“恰幅がいい”“貫禄がある”など好意的な受け止め方をしてきました。そのため、肥満の人は一言でいえば“陽気な太っちょ”キャラクターでした。しかし、欧米では肥満は貧困や自己管理能力のなさの象徴として捉えられており、差別の対象にもなっています。むしろ抑うつ的、神経症的な性格が多いのです。最近は日本でも肥満に対する風当たりが厳しくなっていますので、いずれは抑うつ的な人に肥満が多くなると推測できます」

 

「女性自身」2020年11月17日号 掲載

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