クレジットカード(以下、クレカ)や電子マネー、スマホ決済などキャッシュレス決済はとても便利だが、使いすぎの心配や家計管理に悩む人も多い。
「キャッシュレス決済が増えても、家計管理の基本は変わりません。大切なのは使い分けや予算などの“ルール”を決めることです」
こう語るのはファイナンシャル・プランナーの坂本綾子さんだ。
「ですが、時代に合ったルールの見直しも大切です。たとえば現金払いなら食費や日用品費といった『費目ごと』の予算でしたが、キャッシュレス時代は『決済手段ごと』にしたほうがわかりやすい。そんな新ルールを決め、きちんと守れば、お金の不安を手放せますよ」(坂本さん・以下同)
そこで、坂本さんがキャッシュレス時代の新ルールを伝授!
【ルール1】キャッシュレスは必要最低限に
家電量販店やショッピングモールなどで、その名が入ったクレカを何枚も持っている人がいる。
「クレカもスマホ決済もそうですが、たくさん持つほど管理がめんどうになります。ポイント還元率が上がるなど、お得を逃したくない気持ちはわかりますが、家計管理に手間がかかるとせっかく作ったルールを守れなくなることも。いつも行くお店でよく使うなど使い勝手のよいものを、クレカだと2〜3枚、スマホ決済も2〜3種類に厳選しましょう」
【ルール2】アプリを使う
家計簿アプリは楽だというが、ハードルを感じる人も多い。
「銀行やクレカを連携させると、アプリが自動で入出金を記帳してくれます。現金で払ったものもレシートをスマホで撮影するだけで記帳が済みますし、計算も自動。家計簿はアプリ任せで楽々です。ですから、家計管理がめんどうだと思う人ほどトライしてほしい。家計簿アプリに慣れたら、もう手書きには戻れません」
【ルール3】決済ごとに予算を決める
「キャッシュレス決済はだいたい使うお店や目的が決まっていると思います。Suicaなど交通系の電子マネーは交通費が多いでしょうし、WAONやnanacoなど流通系の電子マネーは使うスーパーが決まっていて、食費や日用品費ですよね。たとえば、クレカ(1)は外食やあまり高くない普段着などに、クレカ(2)は家電の買い換えや値の張るものに使うなどと、決めましょう。すると、クレカ(1)は毎月の生活費に含め、クレカ(2)は特別費としてボーナスから支払うなどと分類できます。使い道が決まると、家計簿につける費目が決まり、管理が簡単になるのです」
たとえば「食品などの買い物は週末にショッピングモールでまとめ買い」が中心の家庭では……。
「食費・日用品費を合わせた生活費として、決済ごとに予算を組むとシンプルです。週末の買い物は電子マネーで払い、予算は1週1万円で月4万円。買い忘れなどを買い足すのは現金で月1万円。クレカ決済は、外食や普段着の購入などに使うので月2万円まで。スマホ決済はコンビニ用だから……と積み上げていくとよいでしょう。現状の食費+日用品費と、新しい予算の合計が同じなら、家計は現状が維持できます。家計簿の記帳も、決済ごとにすると予算管理が簡単です。クレカの引き落としが使った月とずれても、毎月の予算さえ守っていれば、残高不足の心配もありません」
予算は一度決めたら終わりではなく、数カ月ごとに検証して、ムダのない健全家計を目指そう。
「ためしに1〜2カ月家計簿をつけてみて、現実に沿った予算を決めるといいと思います。でも50代以降は、今後収入が減ることを前提に、予算の見直しが必要です」
会社員だと役職定年などで収入が減り、年金生活でさらに減るという人も多い。
「50代になったらねんきん定期便などで自分の年金額を把握し、その範囲で暮らせる予算を考えます。いまから保険やスマホ代など固定費削減に取り組み、家計を徐々にスリム化するとよいでしょう」
「女性自身」2021年6月1日号 掲載